あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

S・キング原作だけど(たぶん)有名でない映画たち「ドランのキャデラック 」(2009)の巻

ドランのキャデラック [DVD]

S原:キング原作のDVDシリーズ、今回はこれです。

Y木:この映画、知らんなー。

 (あらすじ)

トム・ロビンソンは、温和で善良な教師。彼の妻エリザベスは、ある日、偶然に殺人の現場を目撃する。犯人は、ラス・ヴェガスの冷酷なギャングのボス、ジェームズ・ドランだった。エリザベスはFBIからの身辺保護を条件に、ドランを告発する証言を行なうことに同意する。しかし、ドランの魔手は警護の隙をついて、エリザベスを死に至らしめてしまう。
ロビンソンは、ドランを裁判にかけるために手を尽くすが、確かな証拠がないため成功しない。打ちひしがれるロビンソンのもとへ、死んだ妻の“幻影”が訪れ始める。
「監視すること。機会を待つこと。そして、絶対に殺すこと―」。エリザベスが語りかける言葉に背を押されるように、ロビンソンは復讐の計画に身を投じていく―。

 

S原:これはなかなか面白かったで。キングの原作は短編らしい。ストーリーは単純明快。起承転結のお手本みたいな展開やから、安心して観れます。

Y木:ひさびさにまともな映画を観たんとちゃうの?

S原:うん、楽しかった。というか、いつもみたいに苦痛ではなかった(笑)

Y木:復讐ものやな。

S原:うん。妻を殺された主人公が、ギャングのボスに復讐を誓う。ところが、ボスは鉄壁の警護で守られていて、簡単に近づけない。いつもキャデラックに乗ってるけど、これが防弾仕様で敵に襲われても平気なくらい強力な車やねん。さあ、どう復讐するか?というストーリーやな。

Y木:なんかキングっぽくないような気がするけど。

S原:今回は、ホラーとか超常現象とかはでてこない。主人公に感情移入して、ドキドキしてスカッとするタイプの映画やな。

Y木:主人公はどんな人?

S原:ウェス・ベントリーが演じているんやけど、小学校の教師で銃なんか撃ったこともない男やねん。妻も教師で、やっと待ち望んだ妊娠がわかった直後にギャングに殺されてしまう。

Y木:可哀そうに。

S原:うん。でも、ここにちょっと不満もある。

Y木:不満?

S原:ボスは、クリスチャン・スレーターが演じているんやけど、メキシコの女性を人身売買する極悪人やねん。だけど、どうもいまいち小物感が漂っているねん。もっと、極悪人というか酷い奴のほうが、主人公の復讐が盛り上がったはず。主人公の妻もあっさり殺すから、ストーリーが一本調子になってしまったような気がする。

Y木:なるほど。

S原:でも、全体としては面白いんやで。とくに復讐方法がおもしろい。

Y木:どんな復讐するの?教師だけに知的に追いつめていく、とか?

S原:いや正反対やった(笑)主人公は、夏休みのあいだ道路工事のバイトをする。メキシコとラスベガスを通る砂漠の道路工事で、かなり過酷な労働やから主人公はくじけそうになる。けど、実はこれには「目的」がある。この道路はボスが毎回利用する道路やねん。ある日、ギャングのボスが(人身売買の取引のため)、その道路を通る。事前に、その情報を知っていた主人公は道路標識を入れ替え、無人の道路に誘導する。「偽装」された未完成の道路をすすむと、キャデラックはズドンと穴に落ちる。要するに落とし穴やな。主人公は道路工事の技術を学ぶ一方、粛々とキャデラックを穴に落とす準備をしていた、と。

Y木:他に働いている奴らが気付くやん。

S原:この日は休日で誰もいない。だから、主人公は無人の砂漠の中で、だれにも邪魔されずに復讐が出来るというわけやな。

Y木:それで?

S原:穴に落ちたキャデラックに、すこしずつ土をかける(笑)

Y木:うわー。

S原:ボスはもちろん命乞いをする。主人公は、(ボスに)少し希望を持たせたり、絶望させたりしながら、淡々と土をかける。ここが結構面白い。

Y木:ラストは?

S原:キャデラックごと生き埋めにする。その上にキレイに道路を作って、おしまい。

Y木:ボスは窒息死ってわけか。単純と言えば単純やな。

S原:キングの短編って映画にピッタリなものが多いよく言われてるけど、これを見ると確かにそうかも、と思うわ。

Y木:それにしてもキング原作って、ひと昔は「話題作」って感じやったけど、いまはこんなB級っぽい映画もあるんやな。

S原:よく言われてるけど、あれちゃう?「バーチャル・ウォーズ」(1992)あたりから、B級に転落したんとちゃう?(笑)

Y木:おまえ好きやなー、「バーチャル・ウォーズ」(笑)

S原:さあ、みなさん。意外にまともな出来ですが、テレビドラマでええがな、と言われれば、その通りです。キャデラックごと生き埋めになってしまうような悪いことをしちゃダメ、絶対!明日からもマジメに生きましょー!