S原:今回は、ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演で大ヒットした往年の恋愛映画「ボディガード」(1992)そっくりのこの映画!
Y木:うわー、おれにとっては、世の中で最も興味のないジャンルの映画やわ…
(あらすじ)
人を守るために、人を殺め、心を痛めた元SPの男・黒沢(松方弘樹)。1人余生を過ごそうと決めていたある日、1つの警護依頼が舞い込む。対象は、若くして世界から注目を浴びる、新進気鋭のアーティストAYA(島谷ひとみ)。その絵画と自身の注目が高まるほどに、脅迫の類が増えていたのだった。しかし、思うがままに行動し、黒沢をシャットアウトするAYA。脅迫も悪戯だと気にかけていなかったが、エスカレートしていく事態に追い込まれていく。それを救ったのが、黒沢の純粋で真っ直ぐな心だった。無邪気に笑い、穏やかに見守る黒沢を信頼し、再び平穏な毎日を送るようになったのだがーーー。
S原:これはなあ。無難に出来てるねんけどなあ。
Y木:面白いわけないやん、こんなん。
S原:いや出来は普通やねんけどな…ちゃんとストーリーも理解できるし、最後まで観れる。でもなんか違うねん…
Y木:違うって、そのまんまやろ。どうせいかにもVシネマで、いかにも松方弘樹なんやろ。
S原:うん、そうやねんけどな。どうも「薄い」ねん。
Y木:松方弘樹の顔は濃いけどな。どうせ単純というか、ありがちなんやろ?
S原:そうやな。ストーリーは、めちゃ単純やねん。上のあらすじのまんま。ひねりも何もなし。だから松方弘樹と島谷ひとみが魅力的にみえるかどうかがポイントやと思う。
Y木:2人は魅力的にみえた?
S原:2人とも悪くないで。でも、どう言えばええんかな。このストーリーやったら、島谷ひとみが徐々に松方弘樹に惹かれていく…というところが観客としては観たいやろ。実際、ケビン・コスナー版はそれが上手く描かれてるから、当時、女性客が観に行ったわけやん。最後は、別れなければいけない運命なのに、どうしても惹かれていく大人の男女。大人の胸キュン。ああ、もう!みたいな(笑)どうも、この映画ではそういう部分が弱いんよなあ。
S原:持つ…かな?やっぱり、そこの描き方が弱い。最初は武骨やったけど、どんどん魅力的な部分に気付く、という場面がなさすぎる。これでは、ただ単に①ボディーガード(おじさん)を頼む → ②守る → ③仕事が終わったからサヨナラ → ④おしまい。やもんなあ。
Y木:そりゃ、おもろないわ。意外な犯人とかないの?ストーカー事件やろ。
S原:特に普通やった。結局は、島谷ひとみが所属している事務所のライバル事務所の社長の逆恨みが原因やった。
Y木:それも、ありがちやなあ。
S原:惜しい場面はあるねん。島谷ひとみの元カレがおってな。こいつは今は落ちぶれてるけど、島谷ひとみはまだ才能を信じているねん。この元カレがキレて島谷ひとみを襲おうとすると、松方弘樹は容赦なく射殺する。
S原:ちょっだけ、愚痴っただけやった。元カレが目の前で殺されたのになあ…(苦笑)やっぱり、「キャラクター」が浅いんやろうな。脚本なのか設定なのか演出なのかわからんけど。思い切って、コメディかシリアスかどっちかにもっと振り切れば、かなり面白くなったと思うんやけどな。
Y木:いやー、まえのヤクザ映画特集のときも言ったけどな、この手の映画を、おまえみたいに「こうすれば良くなるのになあ」と観てる人は少数派なんやって。こういう映画はサラ~と観れて、印象が薄くてもOKの人向けに作ってるんやって。
S原:そうなんかなあ。プロが作ってるし、少しの工夫でもっと面白くなるはずやのに。どうせ作るんなら、ちょっとでも面白くすればええのになあ。
Y木:ま、あの「ボディガード」をいまさら真似る時点で終わってるわ(笑)
S原:さあ、みなさま。残念ながら印象が残らない作品ですが、ちゃんとは出来ています。2人のファンなら無問題。それ以外のかたは、観ても特に人生の糧にはならないでしょう。そろそろアクションが出来なくなってきた頃の松方弘樹は確認できます。いつか愛する人を守るためにも、ワゴンコーナーで見つけたら、ロック・オン!