Y木:ラブストーリーか。このブログでは珍しいな。
(あらすじ)
大学2年生の春。泉のもとに高校の演劇部の顧問教師・葉山から、後輩の為に卒業公演に参加してくれないかと、誘われる。葉山は、高校時代、学校に馴染めずにいた泉を救ってくれた教師だった。
卒業式の日の誰にも言えない葉山との思い出を胸にしまっていた泉だったが、再会により気持ちが募っていく。二人の想いが重なりかけたとき、泉は葉山から離婚の成立していない妻の存在を告げられる。
葉山の告白を聞き、彼を忘れようと決意した泉は、自分を想ってくれる大学生の小野との幸せに傾きかけるが、ある事件が起こる――。
S原:これはあかん。
Y木:へえ。
S原:ほんまにあかん。
Y木:そうなんや。
S原:マジで、これはあかんねんって。
Y木:わかったわ。しつこいねん!
S原:いやあ、言わずと知れた嵐の松本潤と有村架純のラブストーリーなんやけどな。ちょっとなー。
Y木:主演の2人のファンにとっては、胸キュン映画なんとちゃうの?
S原:どうなんかなあ……うちの奥さんは嵐の大ファンやねん。それで友達とこの映画を観に行ったらしいけど。2人も途中で寝そうになったらしい。映画が終わったら、劇場中が「……これ失敗作だよね?」っていう雰囲気が充満してたらしい(笑)
Y木:ファンでもそうなるんか。それはキツイな。どういうところがダメなん?
S原:とにかく、だるい。その一言に尽きる。
Y木:ゆっくりってことか。そういう映画もアリやろ。
S原:でも、ゆっくりと言っても限度があるやろ?いまをときめく2人の恋愛映画やで?タルコフスキーか、ソクーロフの映画かと思ったで(笑)
Y木:ラブストーリーやのにソ連風かい(笑)映像がキレイなんとちゃうの?
S原:いや別に。普通やった。ナラタージュって映画とかの回想する技法のことらしい。そのせいかもしれんけど、回想シーンがやたらと多い。大して重要でないエピソードも回想シーンで全部説明する。どうも映画のリズムが乱れるねんなあ。
Y木:でも、ゆったりと時間が流れる中で、回想も織り交ぜながら男女の心の機微を描く…そんな映画ってあるやん。それが狙いとちゃうの?
S原:いやあ……もう意図や狙いもわからんくらいの映画やった。これは、10年後には「珍作」として有名になる可能性を秘めてるで(笑)
Y木:いやな可能性やなあ。でも、まあ映画全体の出来は良くないかもしれんけど、2人がかっこよく・かわいく撮れてればOKとちゃうの?
S原:まず有村架純はかわいく・きれいに撮れてる。でも、うちの奥さん曰く「有村架純はこの時期がピーク。あとはどんどん容姿が衰えていく」らしい。
Y木:……おまえの奥さんも辛辣やな。
S原:それよりも問題は、松潤やで!この映画では、ほんまにカッコ悪いねん!
Y木:そりゃ、元・教え子恋に落ちる話やろ。男として情けなかったり、カッコ悪い部分も描かなあかんやん。
S原:ちゃうちゃう。そういう意味じゃなくて、容姿がダサいねん。
Y木:おまえ、全国区のアイドルにむかって…
S原:ほんまやねんって!だってほら、このDVDのジャケットのメガネ姿も変やろ?
Y木:まあな。
S原:でも、この写真はすごく良く撮れてるねんで(笑)誰でも顔の角度や表情で、雰囲気が変わるやん。でもこの映画の松潤は「変な顔」ばっかり。よくもまあ、こんな変顔ばっかり撮るよなと感心したで(苦笑)別にファンとちゃうけど、これでは松潤が可哀そうやわ。
Y木:そんなにカッコ悪いの?
S原:うん。そもそもメガネが似合ってない。後半メガネ外すシーンがあるねんけど、さらにカッコ悪く撮ってた。この監督(行定勲)、頭がおかしいとちゃう?
Y木:言いすぎやろ。それは…そのー…たぶん松潤の新しい面を見せたかったんやろ。いつもの『カッコいい雰囲気じゃない部分』をだしたかったんとちゃうの?俳優としての新しい一面!みたいな。
S原:そんなん、この映画に誰が求める?観客はかっこいい・大人の色気のある松潤を期待するっちゅーねん。演技とかそれ以前の問題。もうぼくには理解不能なり。
Y木:ぼろくそやがな。映画としては、それでも、なにか「売り」があったんやろ?
S原:一応、「有村架純のベッドシーン」とやっぱり「禁断の愛」やろうな。
Y木:へえ。ベッドシーンか。
S原:全然大したことないよ。キレイには撮れてるけど、男性諸君は「そういうのが見たいわけちゃうねんって!」とガッカリする撮り方やし(苦笑)
Y木:日本映画あるあるやな。禁断の恋のほうは?高校教師と元・教え子という設定やろ?
S原:それでも、有村架純はもう20歳という設定やで。たしかに松潤は実は結婚してるから、不倫と言う要素もあるけど。
Y木:元教え子と不倫か。結構、テーマは重いやん。松潤はかなり悩むんやろ?
S原:うーん、それがなあ。なんか悩んでいるみたいやねんけど、やっぱり演出が悪すぎて、何を考えてるか全然伝わらへんねん。それでも、まだ松潤と有村架純の2人のやりとりや会話は、まだマシなほうかなあ。
Y木:他があかんってこと?
S原:有村架純の恋人とか友達とか松潤の妻とか、なんか感情移入できないキャラクターやエピソードばっかりでな。松潤の生徒が自殺したり、松潤の妻が心を病んで家に火をつけたり、有村架純の恋人が気持ち悪かったり…
Y木:聞いてる分には、普通のエピソードばっかりやけどな。
S原:ということは、やっぱり演出が変ってことやで。どれもこれも歯車がかみ合ってなくて、もう背中がムズムズしっぱなし(笑)現実にはいないような登場人物が、大したことのないエピソードを、いかにもドラマチックなように(心が動いているように)、ゆったり平坦に映し出す……これが2時間以上続くんやで。もう拷問やがな(笑)
Y木:おいおい。今回は愚痴ばっかりやがな。
S原:うーん、同じ年の映画で「昼顔」(2017)ってあったやろ。斎藤工と上戸彩主演の映画。はじめてみたときは感心しなかったけど、この映画を観た後に「昼顔」がいかにまともな映画かよく分かったわ。だって登場人物の心情が理解できるもん(笑)
Y木:おいおい。この映画を製作した人たちもふざけて作ったわけとちゃうやろ?
S原:まあ一所懸命に作ったんやろうけど、これでは俳優たちは報われない。製作する側のポイントがズレてるんかなあ。あーもー、このもどかしさをどう伝えればええんや!
Y木:ここまでボロクソに言われると、ちょっと可哀そうになるなあ。おれ、はじめてこのブログでフォローする気持ちになったかも(苦笑)
S原:さあみなさん。この映画を好きという人を否定はしません。これで感動すればそれでハッピーです。それぞれの人生を謳歌しましょう。有名作品のわりに、驚くほどレビューの少ない映画ですが、ここまで俳優の魅力を削ぐ映画はあまりみれませんよ。そういうわけで、この映画をワゴンで見つけても、気づかなかったふりをしてくださーい!