Y木:ジーリ?なにこれ?
S原:今回は、「最低映画」と名高いこの作品を取り上げますよ。
(あらすじ)
ラリー・ジーリはロスに縄張りをもつ犯罪組織の一員。兄貴分のルイスからNY時代の知り合いを助けるため、ある人間を誘拐するよう命じられる。相手は知的障碍を持つ少年ブライアンだった。ラリーはうまく言いくるめブライアンを自分のアパートに連れて行くがそこへ謎の女リッキーが現れる。ラリーだけでは不安に思ったルイスがリッキーを差し向けたのだ。こうしてラリー、リッキー、ブライアンの奇妙な共同生活が始まる。
S原:これ、ラジー賞(最低映画賞)受賞してるねん。
Y木:知らんなー、こんな映画。
S原:たしか、当時の映画秘宝でもボロクソにやったんとちゃうかな。「最低映画マニア」たちには、有名作やけどな。
Y木:いやな奴ら(マニア)がおるなー。おまえも含めて(笑)それで、やっぱり最低映画やった?
S原:ノーです。結論から言うと「わりとマシ」な映画やった。まあ、こっちが覚悟の上で観たというのがあるにしても、そんなに酷評するような映画かなあ。
Y木:そうなんや。
S原:これを最低だ・最悪だと騒いでいる人もいるけど、これよりもヒドイ映画はたくさんあるもん。だって「フィア・ストーム」とか「悪魔狩り」とかと比較したら、ちゃんとしてるで。ストーリー展開は分かるし、アフレコの音声も口に合っているし、カメラのピントも合っているしな。
Y木:おいおい、どんなレベルで話しているねん。
S原:でもまあ、やっぱり面白くはないねんけどな(笑)。変な映画やし、面白くはないけど、そんなにボロカスに言われるほどの映画でもないというのが、ぼくの感想。
Y木:おまえ、普段からしょーもない映画ばっかり観てるから、マシに感じたんとちゃうの?
S原:そうかもしれん。
Y木:どんな話?
S原:すごく単純やねん。上のあらすじの通りなんやけど、ギャング’(チンピラ?)の男女が知的障碍のある男子(10代後半くらい)と一緒に過ごすことになる。
Y木:それで?
S原:それだけ。
Y木:なんやねん、それ。
S原:ほんまにそれだけやねん。
Y木:むかし「レインマン」(1988)っていう映画があったやん。あんな感じとちゃうの?
S原:ちょっと似てるけど、全然深みが違う(笑)
Y木:そりゃそうやろうけど。もうちょっと説明してや。
S原:「レインマン」では、ダスティン・ホフマンと交流することで主人公の心情が変わっていくやろ?でも、この映画ではほとんどそういう場面がないねん。心の交流なんかなくて、ほんまに連れまわすだけ(失笑)
Y木:最低やがな。
S原:最後は、この男子の望みが叶うようになるんやけどな。でも、とくにハッピーエンドという感じもなくて淡々とした結末やったな。べつにお涙頂戴のドラマにしなくてもええけど、それやったらこんな障碍者のキャラにしなけりゃええのに…不自然さが残るだけ。たぶん、こういうところが嫌われたんとちゃうかな?
Y木:なるほどな。
S原:あと、主演の2人(ベン・アフレック&ジェニファー・ロペス)が当時恋人同士やったらしい。これも反感を買ったんやろうな。濃厚なベッドシーンもあるし、観ていると「こらこら、そういうのは私生活でやりなさい」と突っ込んでしまうからな(笑)
Y木:たしかに。
S原:ジェニファー・ロペスはめちゃキレイやねんけどな。そのくせ、2人で猥談というか下ネタを言い合う、それも全然面白くない下ネタやから、観ているこっちはどう反応してええか混乱するばかり。
Y木:ふーん。他にはどこがあかんの?
S原:まず全体的に「薄味」やねん。どこにも引っかかるところがない、というか。
Y木:薄味か。
S原:さっきも言ったようにドラマ部分も大したことない。ラブストーリーとしてもダメ。犯罪組織の一員という設定やけど、サスペンスは特にない。普通、こういう映画やったら、障碍のある男子を守っていく方向になるやん?それもないねん。主人公たちは障碍者をうっとうしいと思いながら、一緒に生活するだけ。これじゃあ、ちょっとな。
Y木:なんか、ダメなところがわかってきた(笑)
S原:まあ、一番の原因はキャラクターが魅力的でないことやと思う。だれにも感情移入できないから、やっぱりつまらんよ。
Y木:「思ったよりもマシやった」というわりには、やっぱり辛口やな。
S原:まあ、「マシやった」だけで「面白い」わけではないから(笑)
Y木:なるほどな。
S原:さあ、みなさん。この映画は最低映画として名高いですが、まだまだ下には下がありますよ。そういう意味では中途半端な映画かもしれませんが、とくに観たからと言って何の印象も感想も残りません。テレビ放映してれば、用事をしながら20分くらい見るのがベターでしょう。そんなわけで、今回の格言。
Y木:急に格言?
S原:「ワゴンセールという名の底なし沼には、底はなし!」
Y木:なんか、よくわからん格言やな……