S原:マイナーホラーの日本映画シリーズ。今回はこちら。
Y木:呪いの村、鬼女伝説か。食指が動かんなー…
( あらすじ)
女子大生の美月と加奈は、ゼミの教授・榊と共に「鬼女伝説」が伝わる村を訪れる。村の屋敷を調査する中で、加奈は小さな人形を見つけ、持ち出してしまう。すると加奈が高熱で倒れてしまい…
Y木:サクッと結論を教えて。この映画はどうやった?
S原:全然、怖くない。これを観て「怖い」とか「気味が悪い」という人はおらへんのとちゃうかな。
Y木:そんなにヒドい出来なんか。
S原:いや、実はヒドイ出来ではないねん。じつは、この作品では「どうしようもない欠点」があんまりないねん。
Y木:欠点がない?じゃあ、それなりにおもろいんとちゃうの?
S原:それが、つまらんねんなあ……
Y木:言ってることが矛盾してないか?
S原:うーんそうやな、全体としては意味は通じているし、最後もちゃんと終わるねん。野球で言うと、チーム全員それなりに卒なくプレーしてるのに、気が付けば8-1で敗けていた、みたいな感じかな。
Y木:ぼろ負けやん(笑)
S原:でも、いまいち敗因はわからんねん。
Y木:あかんがな。どんな話?
S原:主人公は女子大生やねんけど、友人と一緒に大学教授の誘いで、紅花の里の村に行く。目的は、この村に伝わる『鬼女伝説』を調べるためやねん。教授曰く「まだ謎の多い伝説」らしい。携帯の電波も届かないし、村にはお寺に電話が1台あるだけの辺鄙な場所という設定やな。
Y木:まあ、出だしはそんなもんでしょ。
S原:村に着くと老婆が駆け寄って来て「呪われるぞ!」と叫んだりする。村の男たちも「よそ者は早く帰れ!」と怒るねん。
Y木:ホラーの典型的な展開やな。
S原:そのうちに友人が、よせばええのに蔵から日本人形を見つけてくる。そのまま部屋に持ち帰ってしまう。そのあと、友人は高熱を出して、「紅い髪の女の子がいたのよ!」と悪夢にうなされるようになる。お寺に言って助けを求めるけど、電話が不通やったりして上手くいかない。そうこうしているうちに、友人は死んでしまう。
Y木:えー、結構あっさり死ぬんやな。
S原:そのあと、教授も村を出たところで、廃屋が崩れてきて死んでしまう。結局、お寺の坊主が主人公を助ける。と同時に、かつて数年おきに少女が死んでいる事実を発見するねん。
Y木:どういうこと?
S原:江戸時代かな、この村には女児を生贄として一人ずつ殺めるという風習があったのよ。それが鬼女の呪いとして村に言い伝えられてるのであった…
Y木:単純やな、結構。
S原:うん。それだけの話やった。とくにホラーとしては、おかしな点はないやろ?
Y木:そやな。
S原:けど、やっぱり面白くない感じがするやろ?
Y木:うん(笑)
S原:全体としてはまとまってるねん。さっきも言ったけどメチャクチャな欠点があるわけでないのに、やっぱり面白くないという(笑)まあ、そういう映画やった。
Y木:欠点がないのに、つまらん、か……
S原:小さなおかしい点はあるねんけどな。演技も不自然やしな。物語はありきたり、というか「八つ墓村」と一緒。昔の行為が今でも呪いとして、村に残っている…と。
Y木:それが鬼女伝説ってことやな。
S原:そうそう。
Y木:肝心の呪いは?
S原:ここが一番、怖くなる場面のはずなんやけどな。全然怖くなかったわ。紅いカツラをかぶった女性が、ゆっくり近づいてくるだけ。
Y木:そうなんや。
S原:布団の中からモゾモゾと出てきたりな。怖がらせようという努力は認めたいねんけど、ちょっとな……「リング」(1998)とか「呪怨」(2000)のヒット以降、たくさんの続編や亜流作品が出来たけど、あの貞子とか伽椰子とか俊雄くんのインパクトが強烈で、どうもあの感じの怖さを狙っているみたいやねん。
Y木:この頃の邦画ホラーの影響をモロに受けてるわけやな。
S原:でも、やっぱり二番煎じに感じる。予算の都合上かもしれんけど、霊の造形もチープやねん。せっかく田舎でロケしてるんやから、もっと閉鎖的な雰囲気を漂わせたりすれば、かなり番った印象になると思ったけど。そうやな、例えば部落の因習とか、村人が全員狂ってたとかいう設定とか…
Y木:それもどうかなー(苦笑)なんかありそうやん。
S原:まあな。でも、これを観てつくづく思ったことがあるねん。やっぱり、人を怖がらせることは難しい。ホラー映画を作るのは、本当に難しいと思うな。そつなく作ればええってもんじゃないし、ちょっとしたことで怖くなくなってしまうもんな。
Y木:そうかもな。
S原:さあ、みなさん。田舎でのんびりと怖くない出来事が起きるだけですが、そんなに悪くありません。じゃあ、面白いのか?と言われれば、ぼくはノーアンサーです。そんなわけでよろしく!
Y木:なんやねん、よろしくって。