あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「エルフ 悪魔の人形」(2017年)の巻

エルフ 悪魔の人形 [DVD]

 

S原:さあ、今回はみなさんの大好きな人形ホラーですよ!

Y木:別に好きちゃうわ。

 

(あらすじ)

幼い頃のある事件で心に大きなトラウマを抱えてしまったニック。大人になった今なお、彼はその恐怖に苛まれ、恋人ビクトリアとの結婚を決断できずにいた。
クリスマスイヴの日、祖父から相続したままになっていた古びたアンティークショップの戸棚から小人の人形と名前が書かれた謎のリストを発見する。ほどなく、人形は常にニックの傍に存在し、周囲の人々は次々と壮絶で悲惨な最期を遂げていく。
自分の過去と関係していることに気づいたニックだったが、時すでに遅く、その人形は容赦なく人間たちを襲い続ける。その魔の手はニックにもおよび…。

 

 

Y木:おまえ、ほんまに人形ホラーが好きやなあ。
S原:まあな。誰でも映画の好みってあるやん。ぼくの場合は、人形ホラーとか、列車が暴走する映画とか、いつのまにか政府の秘密を知ってしまって追いかけられる系の映画が好物やねん。
Y木:おれには全部興味がないジャンルばっかり…(苦笑)
S原:いままでいったい何本見たんやろ…いつも「ハズレかなあ」と思いつつ、ついつい観てしまうねん。そして大半が外れ、というところがなんともまた…
Y木:よくも飽きずに見続けられるなあ…(呆れた目)
S原:さすがに、「もうええかな」と思う瞬間もあるねんけどな。まあ、餃子好きな人はいろんな店の餃子を食べたいと思うやん?それと一緒やろな。あなたも学生時代は、毎回ミートスパゲッティを注文してたやん。
Y木:確かに(笑)まあ食べ物と映画はちゃうような気がするけどな。それで今回の映画は、どうやった?
S原:結論から言うと、まあまあかな。でも怖くないです。
Y木:でもパッケージはちょっと気持ち悪いやん。
S原:この人形(エルフ)のデザインはそんなに悪くないねん。一番残念なのは、この人形は、はじめからナイフを持ってることかな。それが、逆に怖くないねんな。

Y木:よくわからん。
S原:最後は「怖い人形」にならないといけないけど、こういうのは、はじめは「普通の人形」にすべきやねん。

Y木:要するに、普通の人形なのに怖くなる、というところが魅力と言いたいんか?
S原:その通り。「あんなかわいい人形がなぜ…?」とか、「いつも見慣れている人形がもしかして…!」、とか「まさか人形が自力で動くなんて…!」とかが、一番怖いと思うねん。
Y木:なんとなくわかる。
S原:「普通の人形が豹変する」とか「そのままだが(かわいいままなのに)、勝手に異常な行動をする(勝手に動く)」とかが怖いはず…なんやけどな。もしかしたら、監督も製作側もあまり人形ホラーに思い入れがないんとちゃうかな?
Y木:ストレートすぎるってこと?
S原:人形に関してはかなりストレートかなあ。ちょっと面白いのは、祖父の遺品のなかから人形をみつけたときに、布が入っていて、そこには名前が書いてあるねん。

Y木:名前?

S原:どうも「これから、エルフ人形が殺すリスト」らしい。

Y木:わざわざ、そんなリストが入っているんかい(笑)

S原:それに対する説明は、特になかったけどな(笑)つまることろ、「リストに書かれた人が死んでいく」というわけやな。

Y木:あーそれで主人公は人形が殺していくのを、先回りして殺人を防いでいくねんな。

S原:いや、とくに防ごうとはせんかった。

Y木:なんやねん、殺されるかもしれない人を助けてやれよ!

S原:いやいや、主人公にはその余裕はないねん。

Y木:余裕がない?

S原:この映画の主人公(男)は、トラウマを抱えているねん。だから他人にことなんかかまっている精神的な余裕はないねん。

Y木:えーそんなヤツが主人公…?

S原:そうやねん。なぜかホラー映画で、人形が襲ってくる前にすでに悶え苦しんでいるという(笑)この主人公は、普通にしててもフラッシュバックして、やたらと苦悩するねん。クリスマスに家族が亡くなっているのが、トラウマなんやけどな、結婚を考えている彼女の家族とクリスマスの日に会っても、なんか愛想がなくてギクシャクしてしまうねん。まあリアルといえばそうなんけど、あんまり主人公がウジウジしてるのを見せられてもなあ…演出が上手くないから、観ていると「なんかイライラするやっちゃなー」としか思えない(笑)

Y木:あーでも、あれやろ?主人公がそのトラウマを乗り越えて、エルフ人形と対決する!というのがラストなんやろ。

S原:いや、最後までウジウジして逃げ回っていたで。

Y木:でも恋人は守るんやろ?

S原:いや、守れんかった。

Y木:あかんがな!なんちゅう主人公や。

S原:まあトラウマの部分は、凝った設定のつもりなんかもしれんけど、今回は不要やったな。不要と言えば、変な場面もあってな。映画の途中で、「ピンポーン」てだれかが訪ねてくるねん。ドアをあけたら、クリスマスの聖歌隊(ボランティア?)やねん。しかも問答無用で、いきなり聖歌を歌いだすねん(笑)家の人は「もういいから、あっちへ行ってくれ」と頼むけど、「もう一曲だけサービスしますよ」と言ってもう一曲歌うねん。この場面のほうが、へんな感じで怖かったわ(笑)
Y木:それで聖歌隊はどうなるの?
S原:クリスマスの電飾が、かってに動き出して首に巻きついて殺される。結局はエルフ人形が、犯人なんやけどな。電飾が襲いかかるアイデア自体は悪くないんやけど、襲われた人は自分で巻きつけて苦しんでいるねん(笑)「里見八犬伝」(1983)の薬師丸ひろ子が、大蛇に襲われるシーンを思い出したなあ。自分で一所懸命に動かして襲われるようにみせるという、有名な珍シーン(笑)
Y木:あー、そんな映画もあったなあ(笑)
S原:それはともかく、なんちゅうんかな、人形が怖い映画って、前半の静かな場面(人形が動いていない場面)を大切に丁寧に演出しないと、後半が怖くならへんのとちゃうかなあ。たとえば、女優がいきなり脱ぐよりも、恥ずかしながらゆっくりとボタンを外すほうが興奮するやろ?
Y木:知らんがな。好みやろ。
S原:いや、週刊誌の袋とじも、じっさいに封を開けたらたいしたことがない、っていうことあるやろ?

Y木:中学生か。

S原:人形と言えば「チャイルドプレイ」(1988)とかが有名なんやけどな。ああいうのもええねんけど、ホラーでなくて背筋がぞっとするというときがあるねんな。

Y木:ふーん。そう?

S原:昔の邦画で「この子の七つのお祝いに」(1982)ってあるんやけどな。こどもが、狭い部屋で人形で遊ぶ場面があるねん。短い場面なんやけど、決して恵まれていない環境で、しかもちょっと不気味な感じの日本人形で、無垢な娘が楽しそうに遊んでいる…決してホラーではないのに、なんかこの場面だけすごく歪んでいて奇妙に印象に残るねん。じつは映画自体はたいしたことないねんけど(笑)この映画は、あの短い場面よりも劣ってると思うな。

Y木:エルフ人形が襲っているシーンはどうなん?
S原:悪くないねんけど、実際に人形を動かしている(後ろから動かしている)場面と、CGとがあまり自然な感じでかみ合ってなくて、どっちも中途半端な感じやった。雪面を真正面にテクテクと人形が歩いてくるショットとか、なかなか味があるねんけどな。でも、人形が怖い顔でニヤリと近づいてくるねん。個人的には、この場面は人形の表情のまま(無表情で)近づいてくるほうがええように思ったけど、ここは好みかもしれん。

Y木:おまえ、なんか人形ホラー映画の話になると、やたらと細かい注文を言い出すなあ(苦笑)

S原:やっぱり好きやから、注文も多くなるねん(笑)

Y木:最後は?

S原:エルフ人形をやっつけて助かった、と思ったら、友人がやってきて「この人形はどう?かわいいでしょー?」とエルフ人形をみせる。そこでおしまい。

Y木:典型的なラストやな。

S原:この手の映画はこれでいいんやろうけどな。さあ、みなさん人形ホラーが好物な人にはおススメですが、マストバイか?と言われるとちょっと微妙です(笑)人形にもホラーにも興味がない人はスルーしてください。あ…!ゆっくりと振り返ってください…あなたの部屋にある人形が、いま動いたかも……!

Y木:浜村淳か!