あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定)

「ロスト・マイウェイ」(2004年)の巻

ロストマイウェイ [DVD]

 

S原:今回は、こちらですよ。

Y木:なにこれ?

 

(あらすじ)

『レポマン』にオマージュを捧げたスローライフPUNKムービー。メジャーデビューを夢見る3人組の中年バンド。ある日、仲間のひとりが超能力を身につけてアレックス・コックスが特別出演。

 

S原:まあ、普通の人はまずこの映画は観ない…というか知らんやろうな。主演の松重豊ファンが観るかもしれんけど、SNSでもレビューがほとんどないくらいの超マイナー映画やねん。もちろんぼくも、ワゴンコーナーで出会うまでは、全く知らんかったし。

Y木:あらすじに「レポマン」とかアレックス・コックスとか書いてるけど、懐かしいなあ。でも、観たかどうか覚えてないなあ…(苦笑)そもそもアレックス・コックスって、そんな有名か?オマージュを捧げるようなオッサンとちゃうやろ。

S原:なんかカルト映画監督ってことで、一部に熱心なファンがいるらしい。「シド・アンド・ナンシー」が有名かな。「レポマン」は、映画の本で「これは知られざる傑作だ!」みたいに紹介されてて、ぼくも観たで。

Y木:「レポマン」は、どうやった?

S原:全然おもろなかった…(苦笑)

Y木:脱力系というかダラダラと言うか、まあダラダラした映画という定義はよくわからんけど、おれはそんな方が好みかもしれん。そういうノリが苦手ってこと?

S原:苦手と言うほどでもないんやけどこの映画も全編脱力した感じやったな。

Y木:へー邦画には、そういうノリは珍しいんとちゃうの?

S原:そやな。失敗してダルい映画はたくさんあるけどな(笑)この映画では田舎が舞台やねん。ほんまにパッとせえへん感じの町で、中古車屋さんを経営している松重豊が主人公。そのまわりの知人(中年男性)たちも惰性で生きてるって感じでな。もちろんお客なんか来ないし、中古車屋の隣の空き地でバンド演奏とかしてるけど、それも下手。どうしようもない中年男性たちの物語で、わざとらしい演出やと感じると同時に、なんか妙にリアルやねんな。

Y木:実際おるからな、そういうヤツらは。

S原:あんまり僕もワゴンコーナーとか漁ってるから他人のことは言えん…(苦笑)それで、その中の1人が放射能の影響で、目からビームがでるようになる。そのビームを浴びると人間は消滅してしまうねん。

Y木:あーそこが「レポマン」やな。それにしても、目からビームって。しかも、放射能の影響って(笑)

S原:原子力発電所(?)からできてたトラックの荷台から、ドラム缶が落ちるねん。そのドラム缶を空けた影響で、目からビームをだせるようになるという設定やな。

Y木:うわー、すごい設定…

S原:でもって、目からビームがでることで、小さな騒動が起きるというストーリーやねん。

Y木:あんまり面白くなさそう…いや観てないのに、言ってはいかんな()

S原:まあな。展開の遅い映画が苦手な人にはお勧めできない。うだつの上がらないオッサンたちの物語やから、すがすがしさの欠片もない。よく言えば、テンポがゆったりとしている、悪く言えば迷走している。全編にわたり閉塞感があるし、おまけに風景までどんよりしている。でも、なんか変に印象に残る、そんな映画やな。

Y木:でも、それってワザとやろ?

S原:と思う。キャストとかも松重豊以外は、ほとんど素人みたいな感じやし、これも「狙い」やろうな。上手くいってるかどうかは、評価は分かれるやろうけど。

Y木:狙った映画として観れば、それなりに楽しめるんとちゃう?

S原:じつは、ぼくは予備知識なしで観たから結構驚いた。ほんまにダラダラしてるだけの話なんやーって(笑)おっさんがバンドで人生の再出発を目指す話やと思ってたから。

Y木:それは真逆やな(笑)

S原:一応、おっさんのひとりが借金取りに追われたり、中学生がバイト募集と間違って訪ねたら、そのままバンドメンバーになったり、中学生の母親が塾の先生と夜逃げしたりするエピソードもあるけど、とくに大きくドラマチックでもなくストーリーが動くわけでもないねん。中学生もどこか冷めてるしな。

Y木:ふーん。

S原:この映画をみてつくづく思ったんやけど、いろんなタイプの映画があってええと思うねん。好みはあるにせよ、ハリウッド風やったり高尚な映画だけではやっぱり困るやろ。そういう意味ではこの映画はOKやねん。ただなー、この映画では、惜しいというか、残念なところもあるねんなー。

Y木:どこ?

S原:ラストがなー。もうすこ上手くできたのになあ、って思う。

Y木:ラストはどうなるの?

S原:目からビームがでる特技を買われて、おっさんの1人が紛争地帯(海外?)に連れていかれるねんけど、松重豊と中学生が迎えに行くねん。そのまま、みんなで車で帰るねんけど、途中で中学生だけ車から下すねん。「これでサヨナラだ」って感じで車は去っていく。あわてて中学生は追いかけるけど、みんなビームで消滅してしまう。そこでおしまい。

Y木:そういう終わりなんや。残念なところって、どの部分?

S原:すこしくらいベタで良いから、ラストは「やや甘く」作っても良かったんとちゃうかな?と思ったわ。

Y木:甘くって?

S原:観客は、ダラダラした主人公たちが「区切り」をつけるために、最後に自死を選ぶと解釈できるように作ってるから、すこしペーソスというのか「バカバカしいけど笑える哀しみ」というのか、そんな雰囲気をだしてもよかったのに、と思う。そのほうが、前半のダラダラした感じが余計に生きるような気がするねんけどな。

Y木:えー…でも、それってなんか今までの日本映画って感じやん。たぶん、そういうセンチメンタルな感じを排除した映画を作りたかったんやろ?乾いた感じというか。

S原:うーん、そう言われればそうかもな。もしかしたら、ぼくは、「ダラダラしている中年たちの最後」というものに思い入れがあるのかもしれん。

Y木:おまえの言わんとすることはわかるけど、でもこの映画の趣旨とはちゃうと思うなー。もっといままでの、映画の文法を外したかったんちゃう?だからこそのアレックス・コックスでしょ。

S原:なるほど。

Y木:まー観てないから、おれも的外れなことを言ってるかもしれけど。

S原:じゃあ、観てみる?DVD貸そか?

Y木:いや、ええわ。

S原:なんやねん。さあ、みなさん。この映画は低予算です。出来は良くありません。普通の意味では面白くもないです。でも、変な映画なのは間違いありません。観終わった後に、言葉では言えないような印象が残ります。いままで観たことがない映画を探している人、閉塞感のあるチープな映画を求めている人は、マストバイですよ!いやあ、変な映画やったなあ…