あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「悪夢の銀河鉄道」(1984年)の巻

  

悪夢の銀河鉄道 [DVD]

S原:さあいよいよスタートですよ。記念すべき1本目は、こちら!「悪魔の銀河鉄道」でございます!

Y木:この映画か…

 

解説(アマゾンより引用)
暗闇を疾走する不気味な列車、中ではイカれたロックバンドとダンスに狂う女たちの乱痴気パーティ。しかしそこでは神と悪魔が対峙し、列車の乗客たちの運命を操っている。死の世界へと突き進む列車の、乗客たちの生前の悪行が次々と暴かれていく様が、独立した3作品のオムニバス・ホラーとなっている。 第1話は臓器売買殺人鬼、第2話は自殺マニアの殺人機械、第3話はナチスの恐怖と異なったテーマを持っているが、全編に通じるスプラッター描写は、当時としては“スプラッターの帝王”H・G・ルイス作品に匹敵するものだった。また本作は、60年代SFで多用されたクレイモデルを使ったストップモーション・アニメの怪物も多数登場、並のホラームービーにないSFテイストを持った貴重な作品でもある。さらにキャストも異色、二枚目スターのジョン・フィリップ・ロー、B級映画名脇役キャメロン・ミッチェル。現在でも十分楽しめる娯楽ホラーである。 (田中靖人)

 

Y木:まあ、昔におまえが無理やりビデオを送ってきたから観たけどな。もう一回観る元気はないなあ(苦笑)しかも、この解説で「十分楽しめる娯楽ホラー」って…楽しまれへんわ!

S原:この紹介文、上手いよな。

Y木:あんな映画でもちゃんとした映画と勘違いしてしまう人がでてしまうかも(笑)

S原:それにしてもこの映画をみたときの衝撃は忘れられんよな。

Y木:たしかに。

S原:だって、みなさん、なんとこの映画には『監督』がいないんですよ!(笑)

Y木:どんなひどい映画でも「監督」はおるからなあ。一応製作責任者やし。

S原:あの「フューチャー・キル」でも監督はいるんですよ、みなさん!

Y木:ああ、おまえにムリヤリ見せられたな…あれもひどかった…(遠い目)

S原:この映画はですねえ、監督がいない=映画製作の責任の所在が存在しないから、観たあとの怒りのぶつけ先もないという二重の意味で苦しみを与える映画になっています。

Y木:しかし、こんな映画をわざわざ観て「出来が悪い!」とか怒る人はおらんやろ。

S原:きっとおるよ。「汽車が銀河を走っていないじゃないか!」とか(笑)

Y木:確かに銀河は走ってない。というか列車はほとんど映らへんがな。

S原:少しSNSで調べると、どうも未完成品とかの映画を寄り集めて、3つのストーリーをつくり、ムリヤリ「列車で踊る若者たち」のシーンを付けたらしい。だから監督がいないのね。でも観た当時は、そんな情報も知らないし「どひゃー!」の連続やったわ。

Y木:座席のない列車の中でヤングたちがダンスしているという謎すぎるオープニング。そのダンスがダサさこの上なし。ダンス中の男2名が、同じ声で交互に歌う意味のない演出。それにイライラしている黒人車掌。そして、そのとなりの車輛では、悪魔と天使が会議(?)をしているという謎の設定…

S原:このオープニングを考えたやつは天才やと思う。

Y木:おれもそう思う(笑)

S原:困ったことにオープニングのロックみたいな音楽が、妙に耳から離れないねん。

Y木:ものすごい適当な音楽やけどな。

S原:ついつい観てしまうねんな。あれかな、「ロッキー4」のジェームス・ブラウンのシーンだけ繰り返し見てしまうって感じかな?

Y木:全然ちゃうわ。おまえ、JBに撃たれるぞ。

S原:まず1話目からいこうか。臓器を売買する怪しげなの医師の話やねんけど、悪者はいかにもな顔しているやろ?目が吊り上がってるしな(笑)

Y木:若い女性の裸を切ったりするシーンが見どころかな。なんかすごい雑やけどな(苦笑)

S原: 1話目がおわると、またヤングたちのバリバリにダサいダンス、悪魔と神様の会議が挿入される。

Y木:変に律儀やなあ。

S原:そして2話目は、なんか変な組織(グループ?)に恨まれて、「死のゲーム」に参加させられる話。やたらとでかい粘土製の虫が襲ってきたり、ロシアン・ルーレットみたいな機械があるねんけど…

Y木:やっぱり演出が雑でよくわからん。なんかハラハラせーへんよな…(苦笑)

 S原:そして、そのあとにヤングたちのバリダサダンスと、悪魔と神様のおっさんの会話を見せられる。

Y木:またかい。

S原:なんか神様がピカー!って光ったりするねんで。

Y木:そうそう、ピカーってな(笑)

S原:そして、3話目にいくと…

Y木:このへんなると、なんか頭が麻痺してくるねん。一緒に銀河鉄道に乗ってるような気がするねん(笑)

S原:製作者の思惑通りやないの。さて、3話目は粘土の怪物がでてくる問題作やなあ。

Y木:いやすごいよ、あの出来具合は。ヤクルトのCMみたいやもん。

S原:古すぎて誰もわからんって。まあでも、普通どんなにひどい特撮でも、実写と怪物(粘土でも)を合成しようとするやろ。一応、みどころやし。この映画は、それさえも諦めているという(笑)

 Y木:直前まで実写やった人間が、粘土の怪物に襲われるときは、人間も粘土で表現するという、灯台下暗しの特撮(笑)文章では伝わりにくいけど、ぜひ観てほしい(笑)

S原:それが(ごく少数の)マニアには受けているみたいよ。

Y木:そうなんか。マニアの世界は奥深いなあ…(ため息)

S原:まあ特撮もひどいけど、とにかくストーリーがどれも意味不明で破綻しているから。

Y木:ラストもすごいな。

S原:ラストはですねえ、悪魔と神様が会議をした結果、ヤングたちは『ダンスばかりしている頭の悪い奴ら』という審判がくだるねん。

Y木:なんか、おまえの説明も違うような気もするけど。

S原:あれ、ちゃうかったっけ?

Y木:まあええよ、べつに(笑)でもな、その審判もどうかと思うで。ヤングたちは列車で踊ってただけやろ。

S原:ダンス=堕落しているというジャッジやろな。

Y木:いったい、いつの時代の考え方や。

S原:まあそういう審判がくだって、そのあと列車が脱線(?)してみんな死んでおしまい…と思いきや、またダンスの音楽が流れて、汽車が機嫌よく走り去って、ジ・エンド…最後は、能天気な汽笛が「ピー!」(笑)

Y木:もうやけくそやな(笑)

S原:人生に1本あるかどうかの珍作やわ。

Y木:しかしなあ、ふつうB級映画って「完成度は低いけど、妙な味がある」とか「珍品」とか「下手すぎて笑える」とか、そんな感じで楽しむんやと思うけど…

S原:この映画は、それらをすべて超えています。この映画の珍妙さは、観てみないとわかりません。みなさんもワゴンセールで見つけたら、マストバイです!

Y木:珍作すぎて、かえってプレミア価格になってたりして(苦笑)