あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

麻雀映画 第8局!「女流闘牌伝 aki -アキ-」(2017)の巻

女流闘牌伝 aki -アキ- [DVD]

S原:今回は女流雀士!というか、15歳の女の子が麻雀をします!

Y木:15歳!

(あらすじ)

雀荘で生まれ育った少女・アキ。15歳の冬、ボストンバッグひとつで東京にやってきた彼女が求めたのは、自分の力だけで勝ち取る「本物の人生」だった。自身が持つ唯一の武器「麻雀」によって生きることを決意するアキ。しかし、その前に立ち塞がる汚い大人たちと大都会の現実…。しかし、少女雀士・ひまわりと【ミスター麻雀】小島武夫との出会いが、彼女の「人生」と「麻雀」を大きく変えていくのだった…。

 

S原:これは惜しいです。今回の麻雀映画シリーズで一番惜しい。

Y木:ほんまいかな。

S原:これ解説を呼んだほうが分かりやすいので、コピペします。

 

(解説)

『女流闘牌伝aki -アキ-』は、「元祖アイドル麻雀プロ」と呼ばれる二階堂亜樹が原案をつとめた麻雀コミック『aki』の実写映画化作品。二階堂の知られざる過去を描いた物語で、両親の離婚や、姉妹で父親の親戚に預けられて過ごした幼少期、プロデビュー後に「最年少女子プロ」のキャッチフレーズとルックスで脚光を浴び、テレビや雑誌などへも出演した二階堂の自伝的コミックでもある。

 

Y木:なるほど。実在の女流雀士がモデルか。

S原:この映画では、高校にもいかず本当にカバン一つで東京に行くところから物語が始まるねんけどな。雀荘で育った15歳の女子が大人をやっつけるってカタルシスがあるやん?

Y木:そうやな。物語としては筋が通っているというか。

S原:そのはずなんやけど、どうもスカッとしないのよなあ……

Y木:そもそも、なんで東京に行くの?腕試し?

S原:実家は雀荘で、父親から麻雀の手ほどきをうけているねん。なんやけど、ある日訳あって家族がバラバラになる。なぜバラバラになったのか、劇中で父親がボソボソ理由を言ってたけど、僕には分らんかった……で、身一つで東京に行くわけ。姉が東京におるみたいやけど、頼りたくないのかなんとか一人で生きていこうとします。マンガ喫茶に泊まったりして。

Y木:マンガ喫茶って。そんな15歳で……危ないやん。なんとか一人で生きていくって、無理やろ。

S原:普通に考えれば無理です。でも、その無理(逆境)からどうやって生きていくか?を上手く描ければ、もっと面白くなったはずなんやけどな。確かに、男に迫られる危ない場面もあるんやけど、どうにも真に迫っていないというか。ちょっと残念やった。

Y木:「麻雀で勝って生活費を稼ぐ」ってこと?

S原:主人公もそれを考えて雀荘に行きますが、15歳だからという理由で追い出されます。でも、なんとか麻雀をうつチャンスが巡ってきて、主人公は勝っていきます。

Y木:へえ。

S原:ところが、同世代(?)のライバル(プロ麻雀士の娘)が現れて、主人公は負けた上に「あなたの麻雀の打ち方はダメ」だと指摘されます。主人公は「(生活のために)マイナスにならなければ良いんです」と答えると「だったら、働けば?」と返されます。

Y木:たしかに正論やな。

S原:さあ、そこから主人公はどうする?というのがメインストーリーなんやけど、どうも展開が凡庸というか、演出に切れ味がないというか。行く場所もないから、夜の公園でひとりで遊具をまわす場面なんか、単純やけどええ味がでてるねん。でも、こういう主人公の心情を描く場面がすごく少ない。というか、麻雀場面も含めて全部モノローグで説明してしまう。モノローグなんか無しでええやん。せっかく役者が演じてるんやから、セリフがない場面で、観客にいろいろと考えさせて欲しかった。

Y木:あらすじで、「【ミスター麻雀】小島武夫と会う」と書いてるけど、これが運命の出会いなんやろ?

S原:それもあんまり上手く絡まんかったかなー。実質80分くらいの内容やけど、ミスター麻雀と本格的に交流するのは50分頃やし。主人公の魅力の面でも、物語の面白さでも、ライバルたちのキャラクターも、もっともっとワクワクするはずなんやけど、どうにもピリッとしない。

Y木:なるほどな。

S原:さあみなさん。映画の出来としてはまずまずです。主役の岡本夏美ファンならOkです。増田有香ファンはどうでしょうか(あまり魅力的な役でないし老けて見える)。勝負物語としてはイマイチです。もしかすると、パート2を作るつもりだったのかも、、、です。今回は、歯痒い思いをするストレスのたまる映画でした~!

 

麻雀映画 第7局!「麻雀飛龍伝説 天牌 元禄闘牌決戦史」(2011)「麻雀飛龍伝説 天牌 無間地獄脱出史」(2011)の巻

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(元禄闘牌決戦史のあらすじ)

黒沢に師事していた沖本瞬(波岡一喜)、伊藤芳一(北代高士)、後藤正也(印南俊佑)は25歳以下が出場できる大会・若獅子杯の予選通過を懸け、それぞれ戦っていた。B組の決勝進出をほぼ確定させている芳一に対して、決勝に残るためのサポートを乞う正也だったが、芳一は正也からの直撃で決勝進出を決める。手を抜かない芳一に納得できない正也は恨みを持ったまま、芳一の前から姿を消してしまう。一方、A組の予選を一度も負けないパーフェクトゲームで勝ち上がってきた瞬は決勝で芳一と対戦できることを楽しみにいた。しかし、ある事件をきっかけに3人の人生の歯車が狂い始める・・・

 

(無間地獄脱出史のあらすじ)

若獅子杯で沖本瞬に敗北した伊藤芳一は、波城組ナンバー1代打ちの津神元と対局をし、圧倒的な力の差を見せつけられる。一方、後藤正也は元禄杯での事件から立ち直れず、新宿の組織の代打ちを買って出て、仲邨組の影村、一心会の奥寺、そして波城組ナンバー2の北岡と6億円が掛かった卓を囲むことになる。残りの指を賭ける影村、妻子を人質に取られる奥寺を筆頭に、各々の人生を賭けた闘牌が始まる。

 

S原:これは、パート1とパート2らしい。らしい、と言ったのはどうもシリーズの順番がハッキリしないから。他にもシリーズ作品があるみたいやけど、サイトによって書いている情報が違うねん。もしかすると、パート3とパート4かも……レビューしている人もすごく少なくて、よく分からない。

Y木:それはええけど、このパッケージ……ごっつい怒ってる顔やなあ。

S原:主演は、波岡一喜。ヤクザものというかVシネマにこだわっている俳優です。このブログでも「頂点(てっぺん)」を取り上げました。

Y木:その記事を覚えている人も少ないやろうな。

talksessionyands.hatenablog.com

 

 

S原:これも漫画原作(麻雀飛龍伝説 天牌)で、解説によると「総計600万部、連載回数600話、コミック60巻発売中の麻雀漫画の金字塔「麻雀飛龍伝説 天牌」が圧倒的なリクエストの声により、またまた映像化!」ということらしい。

Y木:すごいな。60巻か。(S原注:あとで調べると100巻以上でてました…)

S原:ぼくも読んだことないねん。だからなのか、この映画はちょっと説明不足、特に登場人物がどんな人間かがちょっとのみこみにくい。たぶん漫画を読んでいる前提で作ってるんやと思う。その反面、キャラクターの説明が少なくて展開が早いとも言えるのよ。だから物語がスピーディーであっという間に観れます。

Y木:なるほど。

S原:要するに麻雀の戦いをメインに据えているのよ。もちろん、それが見どころなんやけど、登場人物の背景を描きすぎると時間がなくなってしまうやろ。だから製作陣も割り切ったんやろうな。

Y木:まあ、あれちゃう?原作を全く知らん人は、この映画はレンタルせえへんのとちゃう?

S原:そういうことやろうな。まずは「元禄闘牌決戦史」から話します。ここでは、主人公の沖本(波岡一喜)と東大生の天才雀士・伊藤(北代高士)、伊藤の友人で同じ東大生で陰のある後藤(印南俊佑)が主な登場人物です。伊藤と後藤は、全日本学生麻雀選手権に出場します。伊藤は昨年の優勝者で、早々と予選通過を決める。一方の後藤は、ギリギリで予選通過できるかどうか。最後の試合で、たまたま伊藤と同じ卓になる。後藤は「仲間だからアシストしてくれるだろう」と期待します。で、試合がはじまると、全然助けてくれない。それどころか勝手に自分だけ勝ってしまう。後藤は負けて予選通過できず、屈辱を味わう。

Y木:予選通過のためにアシストか。麻雀は勝負やろ。それはどうなんやろ。

S原:そうやねん。ちょっと陰鬱というかウジウジしてるのよ。で、負けた後藤は酒を呑んで泥酔します。そこで、女子高生が歩いているのと見つけます。それは、伊藤が家庭教師をしている娘やねん。ジーとみつめてこっそりと後をつけます。

Y木:おいおい、やめてくれよ……

S原:で、公園の近くで声をかけて押し倒したところで、伊藤がやってきて女子高生を助けます。

Y木:あーよかった。

S原:これを機に、後藤は伊藤から離れます(もちろん伊藤は家庭教師もクビになる)。ここまでが前半ね。で、後半は伊藤が主人公と勝負するエピソードになる。両方とも強く良い勝負です。それをヤクザたちが見ています。

Y木:ヤクザ?なんで?

S原:代打ちをさせる人物を探しているんやろうな。で、彼らが、麻雀卓の後ろからそれぞれの手牌をみて話す内容が、麻雀の解説になっていてここは分かりやすくて良かった。

Y木:結局は、主人公が勝っておしまい?

S原:はい。そのあとに、後藤をはじめ訳ありの4人が集まって、ヤクザの代打ちで新しく麻雀の勝負を始める場面でおしまい。これが次回の予告編的な役割になってます。ただ、このシリーズはたくさん登場人物がいて関係が複雑みたいやから、どうしても物足りなく感じる。たくさん伏線を張ってるけど、回収はもっと後になるんやろうな。全部理解出来たら面白く感じるんとちゃうかな。

Y木:なるほど。もう1本(無間地獄脱出史)はどうやった?

S原:こっちは、麻雀の激闘場面がほとんど全てやった。ところどころ回想とかあるけど、ともかく訳ありの4人が戦うというシンプルな構成やったわ。

Y木:訳ありって?

S原:結局、全員ヤクザの代打ちやねん。前作に出た東大生の後藤、妻子の命を脅かされている男・奥寺、自分の指(すでに人差し指がない)を賭けている男・影村、そして正体不明の変人とクセのある4人が負けられない戦いに挑みます。良かったのは、変人を演じたアンタッチャブル柴田英嗣。チャラチャラしながらも、妙にピントがずれている雰囲気が良かった。「哭きの竜」で印象に残った浜谷康幸が、またヤクザ役で登場していて、やっぱりこの人はええわ。もっと売れてもいいと思うんやけどな。

Y木:延々と麻雀をするだけの映画?

S原:そうです。麻雀をはじめて、劇中ずっと麻雀をしています。そして勝負がついておしまい。ここまでくれば、潔いよ。

Y木:へえ。最後はどうなるの?

S原:それは言えない。本当に勝負するだけのストーリーやから、今から観る人はドキドキして観てください。

Y木:主人公はでないんやな。

S原:そうやねん。波岡一喜は、少ししか登場しません。こらから絡んでいくんやろうな。

Y木:で、おまえの評価は?

S原:悪くないです。けど、さっきも言ったけど登場人物が多いから、爽快感みたいなのはなかったかな。原作ファン、Vシネマのファンは楽しめると思う。それにしても、他の2本「四川弔激闘史」と「 黒沢最終決戦史」が気になります。だれか観た人は感想を教えてくださいませ~!

麻雀映画 第6局!「雀魔アカギ」(1997)の巻

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S原:今回は「アカギ」!

Y木:漫画が原作やな。

あらすじ)

刑事の安岡は伝説の代打ち“アカギ”の偽者を仕立て上げ、川田組組長に売り込む。しかし、彼の正体を疑う川田は賭博麻雀の場に向けて密かに本物の赤木を探し始める。

 

S原:これはなかなか面白かった。

Y木:へえ。

S原:要するに漫画をそのまま映像にしています。原作は福本伸行の「アカギ」。これはパート2みたい。

Y木:マンガそのままってこと?

S原:原作は、少ししか読んでないけど、福本伸行の面白さって登場人物がどんな窮地に陥っているかがわかりやすいことやと思うねん。「カイジ」なんかもそうやけど、絶体絶命の状態から、さあどうやって切り抜ける?みたいな。

Y木:読者を同じ気持ちにさせてドキドキさせるタイプの作品やな。

S原:話が上手いから、絵が上手くなくてもグイグイ読めるやろ。喫茶店で読みだしたら止まらへんもんな(笑)で、この映画もすごくわかりやすい。というのは、主人公(アカギ)以外のキャラの心の声が全部聞こえるから。おまけにゲームがどんな状態になっているのかナレーションも入る丁寧さ。いやー麻雀を知らない人でも楽しめるんとちゃうかな。

Y木:ほう。上のあらすじでは、最初は「ニセのアカギ」が出るんやな。

S原:そうそう。記憶力抜群の男なんやけど、ヤクザ組長(中尾彬)は偽物と分かっていて代打ちをさせます。ところが、相手の古田新太が驚異の強さでニセアカギはやられます。古田新太が怪演でな。マンガっぽいしVシネマっぽいし演劇っぽいし、なかなか不気味やったわ。

Y木:途中で本物のアカギが登場するってこと?

S原:そうです。そのまえに小さなエピソードがあるけど省略します。本物のアカギは柏原崇が演じています。結局、本物は偽物と途中で代打ちを交代します。すでに、ものすごい大差で負けていて、あと少ししか勝負が出来ません。このままでは大金がなくなります。さあ、その状態から大逆転が出来るか?という面白さやな。

Y木:なるほど。もちろん逆転できるんやろ?

S原:出来ます。麻雀をしている間にも延々と古田新太のモノローグがあって、勝負の行方がわかりやすく展開して、最後は大逆転で主人公が勝ちます。

Y木:そりゃそうやろうな。たいていの麻雀漫画はそうやろうし。

S原:この映画ではここからがちょっと面白い。最後の大勝負が終わってから、柏原崇は「どうやって相手の心理をよんだか」「なぜ勝てたのか」を丁寧に説明します。このへんは「むこうぶち」シリーズとは違うかな。

Y木:ほう。ラストは?

S原:ラストがちょっと面白いねん。大勝負の後に古田新太は、ヤクザに指を落とされる。「いつか、おまえを倒してやるー!」と絶叫します。主人公はそれを聞きながら、どこかへ去っていく……普通はそれでおしまいなんやけど、この映画では主人公はわざわざ戻ってきます。

Y木:え、なんで?

S原:主人公は真顔で「いつか、なんてことを言わずに、いまから麻雀をしよう」と言います。

Y木:いまから?また麻雀するの?

S原:主人公は言います。「ただし、つぎは(負けたら)手首を切り落とせ」

Y木:うげー……

S原:さすがの組長(中尾彬)も呆れてしまう。なんというか単純に麻雀に強いとかじゃなくて、ギャンブル(賭け事)に異様に執着してる設定やねん。要するにギャンブルによって、モラルとか普通の感覚がゆがんでしまってるんやろうな。たぶん漫画ではここがキモやと思うんやけど、この映像作品ではあまり上手く表現できていなかったように思う。柏原崇の演技がどうこうではなくて、やっぱり実写にすると生々しいんかもな。

Y木:なるほど。

S原:さあみなさん。これはマンガ/映像作品のなかではよく出来た部類だと思います。柏原崇ファン、古田新太ファンならマストバイでしょう。中尾彬寺田農も良いです。製作費をかけずに(節約をして)、ここまで面白くした製作陣は立派です。製作費で苦労している映画/映像関係者は多いと思いますが、こんな風に作ってほしい。特定映像ではリラックスした柏原崇もたっぷりみれます(やっぱりイケメンです)。レンタル店でみつけたら、一度ご賞味あれ~。

麻雀映画 第5局!「麻雀群狼記ゴロ」(2011)の巻

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S原:今回はこちら!「親の文句は許してもよ、麻雀の文句だけは許さねえ!」というキャッチコピーが泣かせます!

Y木:おれは親の文句のほうが嫌やけどな。

(あらすじ)

稀代の雀ゴロ・安斉雅の生き様を描いた麻雀大河コミックを映像化!麻雀が最もアツかった1980年代。会社を辞め、賭け麻雀で生計を立てる“雀ゴロ”へと鞍替えした安斉雅は、若手最強の麻雀集団『哮るの会』に参加し、日々、様々な雀ゴログループの挑戦を受けていた。そんな安斉の前に現れたライバル集団『麻雀維新会』の代表・窪田は、安斉にあるプロ雀士との対戦を持ちかけ…。

 

S原:結論から言うと、これはまあまあやった。

Y木:ふーん。

S原:舞台は1980年代。主人公は金子昇。最初の場面がユニークやねん。主人公は入院(食道がんらしい)していて、病院から抜け出して河をながめている。手から麻雀の牌が落ちる、それを拾う…「おれの体は朽ち果てようとしている…いままで麻雀に賭けてきた自分の人生が是だったのか非だったのか、それを確かめたい…」みたいなモノローグが流れる。

Y木:へえ。死期が近づいた男の回想シーンから始まるんか。麻雀ものでは珍しいかもな。

S原:ええ感じやろ?でも、ええ感じなのはここまでやったかな。

Y木:これも原作は漫画やな。

S原:そうです。来賀友志(原作)嶺岸信明(作画)の「麻雀群狼記ゴロ」です。物語は1980年代。全自動麻雀卓が導入する前やから、手でジャラジャラとかき混ぜるのよ。てっきり、仕込みというかイカサマの話やと思ったんやけど、そうじゃなかった。

Y木:昔の麻雀漫画って、イカサマの話が多かったもんな。というか、悪いけど麻雀ってそういうイメージしかないわ。

S原:いまは仕込みとかはないんやろうけどな。この映画では、大きく2つのエピソードに分かれてます。主人公は「咆けるの会」(たけると読みます)という麻雀グループを作ってます。前半は、主人公(金子昇)が商店街店主たちを相手に麻雀をする話。その中に、麻雀にハマるあまり恋人の心が離れかけている男がいます。ちなみに恋人は聖子ちゃんカットです。その恋人が稼いだ金(場末のスナックで働いている)を元手に雀荘に行きます。「この金を何倍にしてやるからよ。寿司でも行こうぜっ」

Y木:それって典型的な負けるパターンやん。

S原:その通り。よせばいいのに、この男は主人公と麻雀をします。あっさりと負けます。金がなくなった男は、恋人に渡す予定だった婚約指輪を元でに主人公に最後の大勝負を挑みます。

Y木:で、勝負はどうなるの?

S原:負けます。

Y木:えー……

S原:男は金も指輪もなくなります。そのまま無一文で、故郷の青森に帰ろうとした恋人にプロポーズしておいまい。

Y木:そのエピソードって主人公に関係ないやん。要るか?

S原:さて、主人公に「麻雀維新会」のメンバーが声をかけます。「あなたは井の中の蛙だ、ということを気付かせてくれる男と麻雀を打ってみませんか?」と変な表現で主人公を麻雀に誘います。これが後半のエピソードです。

Y木:ほう。より強い相手と戦うというわけね。

S原:そうです。相手は伊原という雀士。本宮泰風が演じています。大勝負ということもあり、主人公は気合をいれて赤い勝負服で行きます。そして、その格好をみた伊原がぽつり。「変な服だな…」

Y木:なにそれ。ギャグ?

S原:ほんまにこういう場面があるねんって。原作を読んでないからわからんけど、なんというかサイボーグ009のコスプレみたいです。このへんは漫画の実写化の難しさかな。で、勝負が始まります。勝てそうで勝てない主人公。結局は、大負けします。

Y木:へえ、主人公が負けるんや。

S原:勝負の後、主人公はラーメン屋で落ち込んでいます。一方で謎のグループ(ヤクザ?)が「面白い男がいるので、次の勝負に呼んでみましょう」と主人公に声をかけることを示唆する場面があります。そこでおしまい。

Y木:パート2に続く、やな。Vシネマあるあるやな。

S原:いいえ、パート2はありません。

Y木:どないやねん。主人公は負けたままやないか。

S原:そうやねん。たぶん続編を作るつもりやったんやろうけど、予想以上にDVDが売れんかったんやろうな。なので、ちょっとスカッとしない映画やった。

Y木:でも毎回主人公が圧勝して終わるパターンが多いやん。なので、これはこれでええんちゃうの?麻雀でもなんでも負けることはあるでしょ。

S原:そうやなあ。さあみなさん。麻雀映画としては普通です。金子昇、本宮泰風たち俳優のファンは楽しめると思います。今回は、ツモりそうでツモらない映画でした!

麻雀映画 第4局!「ノーマーク爆牌党」(2018)の巻

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S原:今回はこちら。

Y木:なんかイマイチっぽいなあ。

(あらすじ)

マチュア麻雀界で全国二連覇を成し遂げ、プロ入りが期待されている大学生の鉄壁保(矢本悠馬)は、雀荘どら道楽で大介(高崎翔太)・宝燈美(長澤茉里奈)と共に、日々麻雀の腕を磨いていた。三連覇の掛かる大会前日、そこにふらりと爆岡弾十郎と名乗る男(石田明)が現れる。自らを天才と名乗り傲慢な態度で振る舞う爆岡に、大介と宝燈美は鉄壁との勝負を持ち掛ける。相手の余剰牌を狙い撃ちする「爆牌」を武器とする爆岡弾十郎と、徹底した守備力「爆守備」を武器とする鉄壁保。運命に導かれるように出会った二人は、己のプライドと人生を掛けぶつかり合う…

 

S原:これは普通かな。

Y木:へえ……(無表情)

S原:というか、ちょっと惜しいかな。

Y木:あー、そう……(無表情)

S原:あーん、もうちょっと興味持ってよ~。

Y木:いやー、さすがに何本も麻雀映画の話を聞いてもなあ。そもそも興味がないし。

S原:今回、麻雀映画(DVD)をたくさん観て、よく分かったんやけどな。結局は「キャラクター」やねん。

Y木:ほかの映画もそうやん。

S原:そうなんやけどな。なんというか、麻雀の展開とか駆け引きとかが、ダイレクトに登場人物に結びついているというか。だから漫画チックなんやけど、上手くいけば盛り上がるのよ。描き方にもよるけど、例えば主人公が貧乏から脱出するために麻雀に賭けるというよりも、風来坊で気味が悪いけど麻雀だけはなぜか強いというキャラのほうが面白いねん。

Y木:それって個人の好みちゃうの?

S原:そうかもしれん。で、前置きが長くなったけど、この映画はキャラ設定がなかなか面白い。

Y木:芸人のノンスタイル石田明が出てるんや。

S原:なかなかの個性やった。主人公は、鉄壁保(矢本悠馬)です。アマチュア麻雀大会で優勝する実力派なんやけど、ある日ふらりと現れた男と麻雀をしてコテンパンにやられてしまう。この男の名前は、爆岡弾十郎。これがノンスタイル石田明ね。主人公は、そこから歯車が狂ってしまい、麻雀にすっかりと精彩がなくなる。

Y木:ほう。それで?

S原:結局、主人公が再起を期して爆岡弾十郎と勝負する。これがクライマックスです。

Y木:かなり単純やな。

S原:ものすごいシンプルです。真っ暗な場所で、麻雀卓を挟んで2人きりになる(他の2人がいなくなる)演出は良かった。最後にどんでん返しがあるかと思って期待したんやけど、大したことなかった。あとは「爆牌」という相手の余剰牌を狙い撃ちするテクニックとかと、「爆守備」で守備力がすごいとか、そのへんはよくわからんかったわ(苦笑)さっき、言ったけどキャラを楽しめばええんやろうな。

Y木:最初に惜しいって言ったのは、どのへんが惜しいの?

S原:石田明は良かった。変なキャラやけど、演技もハマってると思う。反対に主人公がちょっとなあ…地味というか。髪型が7:3分けやし(苦笑)

Y木:別に7:3分けでもええがな。

S原:どうもグチグチと悩むのよ。延々と自問自答してます。カミーユ・ビダンかよ!

Y木:知らんわ。そういう主人公でしょ。

S原:そうなんやけど、ほかの作品がゴリゴリいく奴ばっかりやから、いまいちしっくりこない。あ、言い忘れたけど、この作品では「お金をかける麻雀」じゃなくて、あくまで「スポーツ」やねん。そのへんが他の作品とは違うところかな。ちなみに職場で麻雀をする人に聞いたら「お金を賭けないと全く面白くない」らしい。

Y木:あーそれは麻雀好きがよく言うセリフやな。

S原:だけど、ぼくはお金なんか絶対に賭けたくない。だって、負けたらDVDを買うお金がなくなるやん?

Y木:違うやん。「勝ったら、もっとたくさんのDVDが買える」と考えるんやろ。

S原:いやー、遠慮します。

Y木:なんで?

S原:だって考えてみ?儲けたお金でDVDを買っても、クズみたいな映画DVDが増えるだけやん?

Y木:………もう、DVDを買うのを止めたら?というか、このブログも止めたら…?

麻雀映画 第3局!「麻雀飛翔伝 哭きの竜 外伝」(2011)「麻雀飛翔伝 哭きの竜 外伝 2」(2011)の巻

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Y木:哭きの竜か。昔、流行ったなあ。

S原:今回は、当時雀荘でみんな真似してたという噂の漫画の映像化作品ですよ。

(1のあらすじ)

関東一円を取り仕切る広域暴力団・桜道会系の甲斐組組長・甲斐正三はある男を捜していた。その男は神懸かり的な運の強さと不敗の伝説を持つ雀士“哭きの竜”。甲斐は三好組との対決の時を間近に控え、竜が持つという魔性の強運を求めていた。

(2のあらすじ)

関東の一大暴力団組織・桜道組。その跡目をめぐって対立する甲斐組2代目の石川と川地、そして全国制覇を目論む西の刺客・鬼塚によって抗争は激化していた。そんななか、甲斐組は先代に認められた青年雀士・竜が事態突破の鍵を握ると信じ、面会を求めるが…。

 

S原:これは賛否ある作品やと思う。というのは、面白い点とイマイチな点がハッキリしてるから。

Y木:ほう。

S原:まず良い点は役者が良い。主役の竜は、松田賢二で原作の雰囲気がよくでてると思う。ヤクザの堤役の浜谷康幸は、抜群の存在感やった。なんで、この人は売れてないんやろ?と不思議に思うくらい。

Y木:へーえらい褒めるな。

S原:すごいよ、この人。顔も演技もすごく濃くて、パート2では観ていて疲れてくるくらい(笑)ほかの役者もおおむね良い味やった。たださすがに、顔が柔和な宮川一朗太だけはちょっと浮いてるかも、というか、この人にヤクザ役をキャスティングしたらあかんやろって!

Y木:まあ宮川一朗太はええとして、ほかはどうなん?

S原:肝心の「哭く」場面がおもしろい。ポンとかカンしたときに、スローになってピカーと牌が光ります(笑)こういうのは、照れずに演出するのが大事やと思う。あとは、原作で有名なセリフをちゃんと言う。「あンた背中が煤けてるぜ」とか「時の刻みはあンただけのものじゃない」とか。

Y木:……意味わからんけど。

S原:確かにはっきりと意味はわからん。けど、なんかカッコよく思ってしまう。これぞ、能條淳一マジック!いやー能條淳一先生の漫画はええで。「月下の棋士」でも「いち足すいちは、いち足すいちは、いち足すいちは、いち足すいちは、いち足すいちは……」とか延々とページを埋め尽くしてやん?

Y木:なんちゅう演出や。DVDに話を戻すで。ダメなところは?

S原:正直にいうと………話が面白くないです。

Y木:あかんやん。

S原:個人的には全然乗れなかったなあ。なんというか、ヤクザが大きく絡んでくるんやけどな。その抗争と竜の麻雀場面とが噛み合っていないというか。ヤクザがいくら竜を狙っても、いまいちドキドキしないし。とくに後半でヤクザ同士が延々といがみ合って、主人公だけがクールやったり、主人公に拳銃を向けたり、という場面が延々と続く。さすがに単調やと思う。

Y木:というか、なんでヤクザが主人公を狙うの?麻雀で負けた逆恨み?

S原:主人公は強運やねん。麻雀では鳴くと点数が少なくなることが多いけど、主人公は、鳴いて高い手を作る。要するに無謀と思われる手順で手を作り、上がるわけやな。なので、その強運と言うか剛腕にヤクザは惹かれる。主人公の持つ強運を得るため、あるいは屈服させるためにヤクザが絡んでくる…というわけ。

Y木:「強運の男を殺したら自分も強運になる」ってことか?よくわからん理屈やな。

S原:ぼくも、そのへんはわからん(苦笑)当時、連載中にマンガも読んだけどヤクザが絡む場面はあんまり感心しなかった。それに映像化すると、ヤクザのシーンはどうしてもVシネマ風味になってしまうやろ。こういう麻雀映画では、Vシネマのチープさはない方がええと思うねんけどな。

Y木:でも、原作自体がヤクザと絡むストーリーなんやろ。映画でもそうなるのは、しゃーないやろ。

S原:そうやねん。そういう意味では正当に作ってるんやけどな。人それぞれやけど、こういう麻雀映画を観るのは、やっぱり「主人公の麻雀がいかに凄いか?」を観たいわけやん。ましてや鳴きまくって勝ってしまう血色の悪い無口な男が主人公やで?(笑)そういう奴が、イキがっている野郎どもをクールに倒すのが醍醐味やと思うんやけど、作者としてはそれだけでは物足りなかったんやろうな。なので麻雀以外の要素も多い。そういう意味では、ここで紹介している他の麻雀作品とは違って、異色作かもしれん。

Y木:そんなもんかな。他にイマイチな点は?

S原:「画面いっぱいに字がでる演出」があるねんけど、あれもどうかな……思った以上に効果的ではないと思うねんけど。

Y木:それも原作の影響やろうな。

S原:うん。例えていうなら、そんなに効果がないのに、やたらと高音の速弾きでソロをするメタルのギタリストみたいな。わかる?

Y木:余計にわからんわ。最後はどうなるの?撃たれておしまい?

S原:これから観る人のために内緒にします。一応、ちゃんと終わってますが、クライマックスで盛り上がるという感じではなかったかな。

Y木:今回は、可もなく不可もなくってことか。

S原:イエース。さあみなさん。原作が好きなひとは一度観てみてください。どこか消化不良な感じがしますが、楽しめると思います。だけど、この主人公のような男は友達にしたくないですなあ。だって、ディズニーランドに一緒に行っても、楽しくなさそうでしょ?「あのアトラクションに本当(まこと)があればひとつ……楽しむことだ」とか「(ジェットコースターにビビった客にむかって)あンた、やめなよ負け犬の遠吠えは」とか言いそうでしょ?

Y木:言わんやろ。

S原:というわけで、テンパイになってるのに延々と待っている牌が来ないような映画でした。おしまい!

麻雀映画 第2局!「發の竜~逆転の闘牌~」(2017)の巻

發の竜~逆転の闘牌~ [DVD]

S原:さあ、続いてはコレ!

Y木:Vシネマっぽいなあ。

(あらすじ)

ゲームソフト会社社長・伊織竜(滝口幸広)。会社の経営難をギャンブルで凌ごうとするが、状況は更に悪化、闇金業者に追われ病院送りにされる始末。そこで出会った女性医師・橘さやか(佐藤乃莉)に一千万円の生体肝移植の話を持ち掛けられるが、伊織の生粋のギャンブル気質から、物語は次第に高レート賭け麻雀へと発展していく・・・。そこで繰り広げられる、裏切りと憎しみ、金欲にまみれた勝負の結末とは!

 

S原:結論から言うと、悪くないねんけどな。あまりにストレートすぎて……いやストレートなのはOKかな。なんというか人物の設定が……いやまあこんなもんかな。

Y木:なんやねん、ハッキリ言え。

S原:要するに、盛り上がらないのよ。さっきも言ったけど、話は超単純。わけありの4人が麻雀をする。それだけやねん。

Y木:それでええやん。

S原:まあそうなんやけどな。一応、主人公は伊織竜(滝口幸広)。ゲームソフト会社の社長やねんけど、資金繰りが苦しくて闇金に手を出しています。麻雀が強いから、資金稼ぎに麻雀をしています。

Y木:それ、遊んでいるだけやがな。

S原:従業員にも同じことを言われます。でも、一応麻雀で勝ったお金は会社に入れていたみたい。で、ある日、借金が返せず闇金回収のチンピラにボコボコにされます。救急車で病院に運ばれます。主治医は女医の橘(佐藤乃莉)です。彼女は、借金で首が回らない主人公に対して、『あなた肝臓を1000万円で売ってくれ!』と言います。

Y木:いきなりやな。

S原:彼女の夫のためにドナーが必要やねん。生体肝移植にピッタリの条件だったのが主人公の肝臓だったというわけやな。

Y木:そういうことを医者がしたらあかんやん。

S原:その辺はサラリと流してください。で、結局「(肝臓を賭けて)麻雀で勝負しよう!」ということになります。

Y木:おいおい、展開が強引やなあ(苦笑)

S原:もうひとつのエピソードがあるねん。サラリーマンの佐貫(大谷ノブ彦)は、ヤクザの親分の水田(大村波彦)の妻ユウと不倫関係にあります。水田は刑務所にいますが、やがて出所してきます。当然、浮気をしていた妻と佐貫に怒ります。

Y木:そりゃヤクザでなくても怒るやろ。

S原:で、「(妻を賭けて)麻雀で勝負しよう!」となります。

Y木:展開が強引やなあ(苦笑)

S原:そういう4人が麻雀をするんやけどな。なんというか、これが現実やったらすごい切迫感があるはずやん。

Y木:まあな。

S原:でも全然緊張感がない。しかも、説明セリフが多い。とくにヤクザがすごい喋る。まあわかりやすいといえば、わかりやすいんやけど、もうちょっと工夫してほしかった。それぞれに「命」「人生」を懸けて麻雀してるんやから、もっとなあ……これから観る人のためにラストは言わへんけど、うーん……

Y木:でも麻雀で勝負する内容なんやから、それでええやん。

S原:唯一良いのは、女医役の佐藤乃莉。この人の無表情の演技はなかなかのものです。ほかは、ダイノジ大谷ノブ彦もでてるけど、演技云々ではなくうまく生かされてないと思う。話がストレートなのは百歩譲るとしても、もう少し印象に残る場面がほしかった。それに、こういう話ならもっとドロドロしてええと思うねんけどな。全員、不幸になるバッドエンドでも面白かったと思うで。

Y木:今回はおススメしにくいと?

S原:イエース。さあみなさん。薄味のVシネマといえば雰囲気がつかめると思います。part2があるみたいなので、今作は序章かもしれませんが、まあわざわざこれを選ばなくても良いかと思います。テンパイになりそうでならない映画でした。おしまい!