あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

便乗映画特集!トム・ハンクスじゃない「ダ・ヴィンチ・プロジェクト」(2004)の巻

ダ・ヴィンチ・プロジェクト

Y木:うわ、またしょーもなさそうな感じ。

S原:ところが、これは意外と…

(あらすじ)

レオナルド・ダ・ヴィンチの遺した名画「白貂を抱く貴婦人」を巡り、思惑と陰謀が絡み合うクライムミステリー。刑務所を仮出所中の美術品窃盗のプロ・ツマは、仲間と共に綿密な計画を練り、みごと警察の裏をかいて絵を盗み出すことに成功するのだが…。

 

S原:これ、わりとおもろいねん。

Y木:へえ、意外。

S原:タイトルは、「ダ・ヴィンチ・コード」のモロパクリやけど、謎を解明するとかじゃなくて、ダ・ヴィンチの絵を泥棒する話やねん。

Y木:ルパン三世やな。

S原:そうそう。あのノリやな。それに最後までちゃんと出来てる。

Y木: へえ、便乗映画シリーズの中では珍しい。というか、普通の映画は、そういうもんなんやけどな(苦笑)

S原:うん。どうも最近、麻痺してきたなあ。うん。まあパクリ・タイトルは日本の販売会社が勝手につけたんやろうけどな。(原題は「VINCI」)気に入ったのは、この映画はだれも死なへんねん。たぶん、ケガもしないんとちゃうかな。ありきたりの銃撃戦やカーチェイスもないねん。これって最近の映画では珍しいやろ?

Y木:あーそうかもな。

S原:ポーランド映画やねんけどな。お国柄か監督・製作陣のスタンスか知らんけど、この雰囲気は気に入ったわ。それに、ポーランドって親日国らしい。なのでちょっと点数も甘くなる(笑)

Y木:まあ気持ちはわかる。ストーリーは?

S原:主人公が窃盗罪で刑務所にはいるところから、話は始まる。主人公は出所後に、ダ・ヴィンチの名画「白貂を抱く貴婦人」を盗むという大胆な計画をたてる。

Y木:まさにルパン三世やな。

S原:盗んだ絵画の買い取りの交渉をしたり、高跳びに準備のためにパスポートを用意したり、もとの相棒(いまは警察官)を無理やり巻き込んだり、わけありの女性にダ・ヴィンチの贋作を頼んだり、美術館を地下から襲うために爆弾のプロに依頼するなどが前半。このへんは、普通の演出なんやけど、どうもキャラが地味でな。

Y木:俳優が良くないってこと?

S原:主人公は、さえない感じのオジサン。とても頭が切れる泥棒には見えない(笑)まわりも、むさくるしい男ばかり。ただし、贋作を担当する女優(カミーラ・バー)は、紅一点ながらすごく画面映えする容姿で、この人はなかなか良かった。

Y木:ほう。

S原:でも前半はやっぱりイマイチ退屈やったかな。贋作方法とかちょっと面白いところもあるけど、トリビアというか「へえ」という知的な驚きとか工夫があれば、もっと面白くなったはず。

Y木:どうやって盗むの?

S原:狙ったダ・ヴィンチの絵は、日本に貸し出すねんけど、それが返ってくる日を狙う。厳重な体制で、絵を運ぶ。ちゃんと道路を封鎖して撮影してて、ここは結構お金もかけてる。絵を載せている車(救急車)が、警察車両に囲まれながら走行しています。前にバスが立ち往生していて、停止します。その瞬間に、救急車の停止位置の周りだけを上手く爆弾をしかけて、車ごとズドン!と地下道に落とす。主人公たちは、車からうまくダ・ヴィンチを盗むけど、絵のサイズを間違えて(額縁を計算にいれてなくて)マンホールの穴から絵がだせない。

Y木:おーそれで?

S原:そこから、どうなったかは(観客に)直接見せない。窃盗犯が逃げた後、警察がダ・ヴィンチの絵を地下道で見つける。マンホールからだせなくて絵画を放置したのか、それともこれはワナか?

Y木:なるほど。まあミステリーとしては、普通やん。どちらかといえば、単純と言うかありがちというか。

S原:でも、全体のムードは悪くないよ。そのあとも、田舎の実家に戻ってアリバイを作ったり、警察の捜査の裏をかくのも面白いで。あーそうそう。典型的な日本人(田中さん)もでてくるねん。どうも絵画貸出の担当者みたいで、絵が盗まれた責任を感じてます。

Y木:へえ。ポーランド語を話すの?

S原:いや全部、日本語やった。でも変な日本語じゃなくて自然な日本語を喋る。まあ、まわりのポーランド人はだれも日本語が分からないから、ポカーンとしてたけど。

Y木:最後は?

S原:まあいろいろあって、いよいよ盗んだ絵を取引するときに、取引相手が倒れてお金がもらえなくなる。

Y木:なんで?毒殺?

S原:いや、喘息の発作(笑)

Y木:なんやそれ。

S原:しかも主人公たちは「まー、死なないだろ」「このまま、放っておこうぜ」って帰ってしまう(笑)結局、じつは複製は2枚作っていて、それを本物と偽って金持ちの売り付けるとか、軽いどんでん返しが何回かあって、なんだかんだで上手くいく。

Y木:じゃあ主人公は大金持ちになってハッピーエンド?

S原:いや、まだ刑期が残っているから(仮出所後に違反をしたから?)と自ら刑務所に戻っていく。もちろん窃盗したことは警察に隠したまま、やな。

Y木:自分で刑務所に戻るんか?えらい真面目やな。

S原:ラストがええねん。田中さんが、責任をとってハラキリをしようとする。しかも白装束で(笑)そこに、ダ・ヴィンチの本物が、戻ってきたというニュースがながれる。田中さんは「やったー。助かったー」って泣いて喜んで、おしまい。

Y木:変なラストやな…(苦笑)

S原:まあ、最後も日本人ネタでおしまいにするところも、親日国らしくてますます好感を持ったわ。でもポーランドって風景がキレイでな。街もええけど、途中で少しでてくる郊外の風景がすごく良い雰囲気やねん。いつかポーランドに行きたいわ、まじで。

Y木:今回の映画は、意外と楽しめたんやな。よかったやん。

S原:うん。たまには普通の映画も観ないと、脳みそが溶けてしまうもんな(笑)さーみなさま。今回のパクリ映画シリーズの中では上出来のランクです。ルパンなど泥棒映画が好きな人は、ぜひどうぞ!やや薄味ですが、のんびりと楽しめます。そして、このブログを読んでいる人で、ポーランドの人がいたら、この映画が本国でどんな評価だったのか連絡くださーい。

Y木:連絡なんか来るわけないやろ。

便乗映画特集!とくに危険ではない「危険すぎる情事」(2006)の巻

危険すぎる情事 [DVD]

S原:さあ、誰もごまかされないタイトルの映画シリーズ、今回はこれ!

Y木:「危険な情事」(1987)のバッタもんか。

(あらすじ) 

魅力的な年上の人妻と大学生の青年の禁断の恋。さらには嫉妬深い警察官の夫とが織りなす三角関係の行方を描いたミステリー・サスペンス。美しい人妻のリサは、大学の夏休みで実家に戻ったサムと再会する。二人はごく自然に惹かれあい、禁断の情事に溺れていく。しかし二人には、リサの夫という邪魔者が存在していた・・・

 

S原:これは野球で言うと、直球勝負やった。

Y木:ほう。ええやん。

S原:でも、その直球がものすごい遅くて、コントロールが悪いねん。

Y木:…あかんやん。

S原:話はすごく単純。演出も単純。ほんとうに正攻法で勝負しています。問題は、すべてその勝負に負けているってことやな。

Y木:まあ、タイトルからしてまともな映画とは思えんけど。

S原:いや、まともといえば、まともやねんで。ただ出来が良くないだけ(苦笑)さっきも言ったけど、まずストーリーがすごくシンプル。①主人公(人妻)が、若い男性(大学生)と恋に落ちる ②夫(警察官)が気付く ③夫が主人公を撃ち殺す。それだけ。

Y木:えーそれだけ?

S原:ほんまにひねりも何もない。起承転結でさえないもんなあ。

Y木:これって、そもそも「危険な情事」の話ともほとんど関係ないやん。よくこんなDVDを買うよなあ。

S原:一応、不倫というキーワードは一緒やけど。さすがに今回は、ちょっと買ったことを反省した(笑)でも、どんな映画かは観ないとわからんしなー。

Y木:いやタイトルとパッケージで、ダメな映画ってわかるやろ。要するに、この映画は主人公の女優のセクシーさをみせるのが目的とちゃうの?

S原:そうやろうな。たしかにベッドシーンは激しいから。でもそれも最初の1回やし。

Y木:人妻と若い男のラブストーリーか。なんかありがちやなー。

S原:人間関係や主人公たちの心の動きを描きたかったんやろうけど、淡々とすすんでいくだけやったな。あとちょっと何かがあれば、ガラリと印象が変わるはずなんやけど。といっても、何をどう変えればええのかわからん(笑)

Y木:キャラクターの気持ちが描けてないってことやな。

S原:そうやな。心模様を描こうとしているけど、なんというか「若い男性のテクニックで、人妻が夢中になる」としかみえない(笑)

Y木:AVか。というよりも、昔のロマンポルノみたい。

S原:そうそう。かつて子供を失くした経験があるとか、夫の関係が冷えてるとかの設定もあるで。

Y木:あーロマンポルノや。

S原:最後は、白昼のバーで密会しているところに、警察官の夫が気付いて、妻を銃で殺す。そして、夕陽のなかシルエットで抱き合う2人…おしまい

Y木:あーロマンポルノや!おれ、好きかも(笑)

S原:いや、あなたの好きなポルノ映画の「湿り気」はないよ。とにかく単純な映画やった。

Y木:そうなんか。よく考えればポルノの全盛期は70年代やし、能天気なアメリカ人にあの雰囲気を求めてもあかんか…(苦笑)

S原:さあみなさま。どんどん複雑になっていって疲れるばかりの世の中ですが、たまには単純な映画で心を癒しましょう。久しぶりに居酒屋で会った友達の浮気話を聞くような映画ですが、まあ面白くなくはないと言えなくもない映画ですよ。価値はありませんが、レアなのは間違いありません。どこにでもある話をどこかでみたような演出で撮った映画を観たいあなたは、ゲット、プリーズ!

 

 

 

便乗映画特集!ジェイソンのでてこない「ジェイソンZ」(2003)の巻

ジェイソンZ [DVD]

 

S原:さー、お待ちかね。好きな人にはたまらないジェイソンのバッタもん映画!

Y木:そんなもの好きなヤツ、ほんまにおるんか?

(あらすじ)

楽しいはずの学生たちのウィンターバケーションが、殺人劇の舞台と化すホラーパニック。バケーションを利用し、スノーボードをしに雪山へ向かう4人の学生たち。そんな旅の途中2人のヒチハイカーと出会い、合流。しかしそれが全ての悲劇の始まりだった…

 

S原:さあ今回の映画は、すごいですよ。この映画ではホッケーマスクの男はでてきませぬ。そもそも名前もジェイソンではありませぬ。

Y木:B級映画あるあるやな。

S原:いやはや、ここまで堂々と本編と違う主人公をパッケージにするのは、あの「コアラ課長」(2006)以来やろうな。

Y木:どうでもええわ。それで、この映画はどうやった?

S原:結構、おもしろかった。

Y木:ほんまかいな。おまえの評価はあてにならん。

S原:誉め言葉やと受け取っておくわ(笑)これは一応、スキー場を舞台にしたホラーなんやけどな。当然、スキーシーンがたっぷりとあってなかなかの腕前やねん。「ザ・ソルジャー」(1982)みたいな感じ、と言えばわかってくれる?

Y木:せめて「私をスキーに連れてって」(1987)と言ってやれよ。

S原:この映画での殺人鬼は、とにかくスノーボーダーを恨んでるねん。

Y木:なんで?

S原:理由はない…みたい。しいて言うなら、マナーが悪いのが腹が立つ!かな(笑)

Y木:ごっつい適当やな。

S原:要するに、監督は、とにかく殺人シーンを撮りたい・見せたいだけなんやろうやな。そういう意味では、いかにもB級映画ならではの正統派なんかもしれん。

Y木:でもせめて、殺人の動機は要るやろ。

S原:もう、考えるのもめんどくさいんやろ(笑)もしくは「どうせ、ちゃんと動機を描いても、評価してくれへんねやろ?」というひねくれた気持ちなんやろうな。

Y木:なんで、いじけてるねん。ストーリーは?

S原:閉鎖されたスキー場に4人のヤングたちが向かう。人手のないゲレンデで思いっきりスキーやスノーボードで楽しむのが目的やな。途中で、全身黒ずくめの男が周辺をうろつき始める。この男が実は…って話やな。まあストーリーとしては全然大したことないよ。

Y木:こういうのは、ホラーな場面が良ければOKな映画なんやろうな。

S原:そうやろうな。ショックシーンはちょっとおもろいよ。映画がはじまってすぐにスラッシャーシーンがあるねんけどな。木と木の間にピアノ線が張ってて、滑ってくる人の首が飛ぶという。

Y木:あー…(苦笑)

S原:しかも、そのあとは女性のシャワーシーンが当然のように挿入される(笑)そうそう、この映画ではやたらと女性のセクシーショットがあるねん。

Y木:それも、いかにもB級映画やん。

S原:そうなんやけどな、この映画ではやたらと女性の下着を強調する。いろんな色や形の下着のオンパレード。赤、黒、ヒョウ柄…とくに必要もないのに、やたらと脱いだり着けたり脱いだり着けたり。あげく服を着たまま下着を取るゲームで盛り上がる(笑)

Y木:監督のフェチズムが爆発してる感じやな。

S原:あと、変な言葉のオンパレードやねん。「おい、美人のトイレ訪問は見逃せないぞ」「もうムズムズしてやばいよ!」「美の女神さえ君の前ではかすむだろう」…いまどきこんなセリフある?

Y木:頭が悪いんやろうな。

S原:そのくせ「悪いカルマにつかまったぜ」とか意味不明なセリフで人が死んでいく。この監督は、なかなかのセンスやで。

Y木:下手なだけやろ。ほかに面白い場面はないの?

S原:そうやな、リフトで殺人鬼と会ってしまった女性が殺される。リフトにぶらーんとぶら下がったまま…とくに普通のホラーシーンなんやけど、この女性はだれも見つけないから、延々と吊り下げられたまま。しかも、ほかの場面をはさんで何回も吊り下げられたショットが映る。なんか気の毒でな。だれか見つけてやれよ、友達がいなくなってるのに(笑)

Y木:最後は?

S原:殺人鬼が、除雪車で襲ってくる。しかも、全身黒ずくめの男の正体は、なんと一緒にスキー場に行った女友達でした。一応、これどんでん返しね。

Y木:全然驚かへん。

S原:さあ生き残ったヤングたちが行きどまりに追いつめられる。除雪車が迫ってくる!危ない!というのがクライマックスやな。もちろん当然、殺人鬼が除雪車に巻き込まれて、赤い雪が一面にブシャー!

Y木:悪趣味やなあ。

S原:ラストシーンは、すごいたくさんの人が死んでるのに、生き残ったら男女が「さあ、帰りましょ♡」って感じで、にこやかに帰宅しておしまい。すごく清々しいで(笑)

Y木:なんかひどいな。

S原:まあそういう映画やったよ。さーみなさま。いかにもB級ですが、パッケージ詐欺を除けばまあまあです。首が飛ぶ場面や、スキーやスノボが好きで、女性の下着が大好きなあなた!あなたのための映画ですよ!中古店で見かけたら、ゲット、プリーズ!

便乗映画特集!セブンじゃなくて「セブン+(プラス)」(2008)の巻

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S原:今回は、あの「セブン」(1995)にそっくりの映画です。

Y木:うわー、いつにも増して面白くなさそう…

(あらすじ)

「セブン」の衝撃から12年・・・あの戦慄が再び甦る・・・。2人の刑事が猟奇殺人事件に挑むサイコサスペンス!
残忍な事件が発生した。家の中で男がショットガンで撃たれ死亡。犯人は被害者の脊椎を折り身動きがとれない状態にした上で椅子に座らせ手足を縛った。誰かがドアを開けると銃が発砲される巧妙な罠が仕掛けてあったのだ。自ら手を下さず標的をその愛する者の手によって殺させ、死亡する瞬間を目撃させるというおぞましい手口。血気盛んな新米刑事のマロイは引退間近のベテラン刑事マッケイシーとコンビを組み、この難事件に挑む。そして、ついに犯人へつながる糸口をつかみ、マロイは刑事としてではなく、一人の人間をして犯人と対峙することになるのだった。想像を絶する衝撃の事実が明らかになった時、犯人の真の目的が達成されることを誰も知らなかった・・・。

 

S原:これは……面白くなかった。

Y木:そんなん観る前から想像つくやろ。上のあらすじを読むと、ストーリーも「セブン」のパクリやん。

S原:そうやな。主人公は「セブン」と同じく刑事2人。猟奇的な連続殺人事件を追いかける話やから、ほぼ一緒。タイトルにも内容にも便乗してる「正統派便乗映画」と言えばいいんかな。

Y木:なんやねん、正統派って。

S原:まあパクリでもええねんけど、この映画は見ていると暗い気持ちになるねん。

Y木:猟奇的な場面がエグイの?

S原:あー首チョンパとかエグイ場面もあるで。それもあるけど…なんというか、主役の刑事2人が陰鬱やねん。

Y木:陰鬱?

S原:まず性格が暗い。表情も乏しい。いつも同じ汚らしい服を着てて容姿もパッとしない。存在感もない。それぞれにトラウマを抱えているうえに、1人は病気に冒されてる(脳腫瘍)。刑事としても優秀じゃないから、連続殺人事件への洞察力もない。犯罪を憎む正義漢でもない。

Y木:ええとこなしやん(苦笑)

S原:こんな設定じゃ、面白くなるわけがない…「セブン」も暗い話やったけど、猟奇的なミステリー展開が面白いし、モーガン・フリーマンブラッド・ピットがすごく良いやろ。なんといっても、あの雰囲気と言うか映像美が、印象に残るやん。

Y木:あー確かに。宗教観も絡むしな。

S原:この映画にそこまで求めるのは酷やけど、観ていると「おいおい、もうちょっと撮り方があったやろ…」と突っ込みたくなる。おまけに曇りの日が多くて、中途半端に画面まで暗い(笑)あーそうそう、主役の刑事以外の登場人物もみんなトラウマを抱えてるねん。あー、ヤダヤダ!

Y木:わかった、わかった。そういう映画もあるがな。

S原:一番、あかんのは最初から最後まで2人の仲が悪いこと。ベテラン刑事は若造を認めない。そのくせ、ベテランらしい捜査もしないから、ただの性格の悪いおじさん(笑)若者はずっとなにかにいら立っているけど、観ている方には伝わらない。もちろん捜査は進展しない。観ている方は、またイライラする。

Y木:これ、メインストーリーは連続殺人なんやろ?

S原:犯人は直接手を下さずにいろんな仕掛けで、殺人をする。たとえば、ドアを開けた瞬間にヒモが引っ張られて、拳銃が発射される。ドアを開けた人(家族とか)が殺人の瞬間を目撃する…それを犯人は楽しむ。一種の快楽殺人かな。この場面がかなりグロやから、そういうのが好きな人は楽しめると思うけど、どうにもイマイチやねんな。

Y木:犯人は?

S原:もうネタバレになるけど、主人公の若い方の刑事が真犯人。最後は、自分で恋人がドアを開けた瞬間に、自分を拳銃で撃つ装置で自死する。

Y木:迷惑な奴やな。ベテランのほうの刑事は?

S原:なにもかもが嫌になって自殺します。

Y木:なにそれ…

S原:ほんまに気分が悪くなるで。日曜の朝に観るような映画とちゃうわ(苦笑)「セブン」みたいに、なにか考えさせられるわけじゃなくて、ただただ暗くて薄汚い登場人物がトラウマに苦しむ姿を見せられるだけ。暗くて陰気で湿っぽくて…なんでこんな気持ちにならなあかんねん!

Y木:好きで観たんやろ!

S原:はー(ため息)…とにかく、最初から最後までスカッとしない映画やった。

Y木:でも、なんか「暗めの映画」ってあるやん。そういうの映画とも違うんやな?

S原:そうそう。ただ陰鬱で出来が悪いだけ(笑)さあ、みなさま。「セブン」が好きな人もそうでない人もとくに見る必要はないと思います。でも、毎日ハッピーな気分で生活してて人生に何の憂いもなく、「どれどれ、たまには他人の不幸でも観てみるか」という気分の時は、これを選んでくださーい!カタルシスゼロの珍映画でーす。

便乗映画特集!バーチャルでもウォーズでもない「バーチャル・ウォーズ」(2010)の巻

バーチャル・ウォーズ [DVD]

S原:今回のパクリタイトルの映画は、これ!

Y木:というか、タイトルはそのままやん…

(あらすじ)

ジェニファー・ライアンは、闘病中の親の医療費を稼ぐために、政府が管理する児童施設のスタッフ募集に応募し採用される。施設を管理しているのはアリエルというAI。しかし、アリエルの管理システムが何者かに侵入されコントロールされてしまった。ジェニー達に襲いかかる魔の手。ハイテクアングラ施設は修羅場と化してしまうのだった…。

 

S原:あなた、POVって知ってる?

Y木:あー最近流行っているやつやろ。カメラとかで撮った画像がそのまま映画になってるやつな。

S原:そうそう。ドキュメントタッチで効果を狙っての演出やと思うけど、どうしても手ブレ(視点の揺れ)があるやろ。リアルと言えばリアルなんやけど、ぼくは酔うねんなあ。どうも苦手やねん。修学旅行のバスの後部座席みたいな。

Y木:子供か。

S原:「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)を映画館で観たときは、本気で吐きそうになったで(苦笑)どうも三半規管が弱いんやろうな。

Y木:この映画はPOVなんや。

S原:うん。登場人物がかけた特殊なメガネがそのまま映画の映像になってます。でも複数いるから、ちゃんとカット割りみたいになっていて一つの視点で話がすすむ映画よりは、かなり観やすい。

Y木:出来はどうやった?やっぱりダメやったんやろ。

S原:結論から言うと普通くらいの出来かな。でもPOVというだけで、とくに話に目新しさはないから単純と言えば単純やねん。舞台はたぶん近未来のロス。アメリカは、すでにいろんな分野で中国やインドに追い越されたという設定です。未来のために、優秀な子供たちを隔離して「教育」を行っている施設があって、そこに主人公たち3人がやってきます。ARグラスと呼ばれる特殊なメガネをかけると、いろいろな情報が得られます。子供たちも私語もせず、特殊なメガネをかけて仮想空間で一心不乱に勉強をしています。

Y木:主人公たちは何しに来たの?教師?

S原:この施設の監視などが仕事です。この施設にはアリエルという人工知能がいて、それがすべてを監理しています。やがて緊急事態が発生。何者かによって施設がハッキングされてしまったようです。さあ主人公たちはどうするのか?人工管理された無垢な子供たちの運命は?…というお話。

Y木:なるほど。結構、面白くなりそうな要素はあるな。

S原:うん。特殊なメガネをかけたら、目の前に地図が出たり暗闇になっても映像が浮かび上がったり、そういう特撮はありがちやけど面白い。でも淡々と進むから意外とサスペンスが盛り上がらない。なんというんかな、こういう映画って主人公たちがどんどん追いつめられるところが見せ場やん。

Y木:そうやな。追いつめられてどう危機を乗り越えるか?とかやろ。

S原:そのへんが淡泊すぎてちょっとなあ。印象に残らない場面ばっかりというか…(苦笑)子供たちが無機質でもっと気味悪い存在のほうがいいと思うけど、あんまりやりすぎると単純なホラーになるから、それはしたくなかったんやろうな。

Y木:なるほど。

S原:これは、ラストになっても完全に謎は解明されない。このあたりも、余韻が残る雰囲気を狙ったんやろうな。

Y木:それは成功してるの?

S原:人によって評価が割れるやろうけど、ぼくはそんなに…というのが本音かな。映画全体の雰囲気としては悪くないと思うけど、さっきも言ったけどぼくはPOVが苦手やから。この演出が好きな人には、楽しめるかもな。

Y木:どっちにせよ、スティーブン・キング原作の「バーチャル・ウォーズ」(1992)とは無関係なんやな。

S原:まったく関係ありません。というか、あれも珍作やねんって!当時、映画館で観た自分が信じられない(笑)

Y木:珍作に便乗した映画か。それはきついな。

S原:さーみなさん。POVという演出がプラスとなった場面もあれば、マイナスとなった場面もある映画ですが、パクリタイトル映画のわりにはまずまずでしょう。最後のどんでん返しがとってつけたようなオチですが、それもまた愛嬌ですよ。さあ、バーチャルな未来に向かって、一緒にレッツゴー!

便乗映画特集!とくにインパクトのない「宇宙戦争 ファイナルインパクト」(2012)の巻

宇宙戦争 ファイナルインパクト [DVD]

S原:今回は実はバッタもんじゃない、こちらの映画!

Y木: えー、どう考えてもバッタもんやん。

(あらすじ)

H.G.ウェルズの原作を独自の新解釈で描いたSFパニックアクション。2012年11月28日午前6時。出勤しようと外に出たマリッサは衝撃的な光景に言葉を失った。巨大な三脚状の機動兵器が暴れ回っているのだ。それこそ地球外生命体の侵略行為の始まりだった・・・

 

S原:これは、トム・クルーズ主演の「宇宙戦争」(2005)に便乗した企画映画かと思ったら、なんとちゃんとH.G.ウェルズの小説「宇宙戦争」を原案にしてた。といっても、かなり「再解釈」して作ったみたい。

Y木: ふーん。じゃあ、ストーリーは一緒なんや。

S原:ほぼ一緒。というか、トム・クルーズの「宇宙戦争」も微妙な出来やのに、それを薄味にしたらそれは面白くなるわけがない(笑)

Y木: やっぱり、ダメ映画なんや。

S原:これはちょっと褒めようがない(苦笑)唯一良いと思ったのは、宇宙人(火星人?)が操る3つ足のロボットがウイーンウイーンと動くところかな。その特撮はよく出来てる。でもなー、とくに工夫もなく動くだけで、ひたすらのんびりと人間を襲うだけやねん。

Y木: お決まりやん。

S原:工夫がなさ過ぎるわー。なんかもう炭酸の抜けた炭酸水を飲んでるみたい。

Y木: そりゃ水やがな。

S原:そうやねん、これはただの水道水やねん。居酒屋に行って、わざわざ水道水を注文しないやろ。もうちょっと面白く作ってくれないとなあ…

Y木: 単純すぎると言いたいんやな?

S原:ほんまに、①宇宙人が襲ってくる ⇒ ②主人公たちが逃げまわる(ちょっとだけ反撃する)だけやからなー。

Y木: たしかオリジナルでは、地球にあるウイルスで、最後に宇宙人は自滅したやろ?

S原:今回は、それもなかった。だからひたすら、追いかけっこするだけ。

Y木: ちょっとは面白いところあるやろ。ツッコミポイントとか。

S原:うーん。そうやな…主人公の女性がボインで、やたらとパツパツの服を着ていることかな。キャッツアイみたいな感じかな。

Y木: ありゃレオタードやろ。

S原:あとは、オバマ大統領の本物の演説に勝手にアフレコしてる。「宇宙人がやってたから、急いで逃げて下さい!」「白人もアジア系も関係なく襲われます!」(笑)

Y木: おいおい。

S原:しかも、オバマ大統領はあっさりと死にます。

Y木: 大丈夫なんか?実在の大統領にそんなことをして…

S原:たぶん、この映画の出来をみたら、ホワイトハウスも呆れて訴訟とかもしないと思う(苦笑)えーと、あとはなにがあったかな、そうそう、仲間の女性がけがをして、水を飲みたいと言ったら間違って漂白剤を飲ましてしまう。

Y木: うわ、それギャグ?

S原:いや、大真面目やったよ。どうもピントがずれてるんやろうな。一応、携帯で宇宙人を隠し撮りするとかあるねんけど、全然ストーリーとかみ合ってこない。たしか人間を材料にした「赤い草」(血液で赤くなってる)を見つけるけど、それも伏線にならない。3足ロボットからビームが出て、人間が一瞬で蒸発するねんけど、食用のはずやのに蒸発させたら食べられへんやん。おまけに、3足ロボットが容赦なく人間を襲うときもあれば、急に怖気づいて逃げるときもある。もう設定もブレブレ(笑)そもそも、なんで宇宙人が襲ってくるのかわからんしな。

Y木: でも、それはオリジナルも一緒やろ。いきなり、わけがわからないまま宇宙人が来て大混乱するという話やん。

S原:そうなんやけどなあ、もっとサスペンスがないとなー。田舎のニワトリがケンカしているみたいなもんやで。

Y木: どういう例えや。そういえば軍隊は?

S原:初めの2日間で全滅した、という設定みたい。でも、主人公が隠れている町は10日間たっても、のんびりとロボットが歩いてたけどな。

Y木: なんやねん、それ。ラストはどうなるの?

S原:忘れたなあ(苦笑)たしか、敵の基地(?)みたいなところに行って、人間の捕虜を助けてたと思う。そして、『まだまだ、俺たちの戦いはここから始まるぜ!』って、夕陽に向かってこぶしを握り締めた場面でおしまい…やったと思う。

Y木: ジャンプの打ち切りか。

S原:まあ。そういう映画やったよ。というわけで、このブログの読者にもおススメ出来ないなー。他にもっとヒドイ出来の映画はありますが、ここまで退屈なのも珍しいです。というわけで、ワゴンで見つけても、マストスルー、プリーズ!

 

 

便乗映画特集!スピルバーグじゃないほうの「宇宙戦争  ウォー・オブ・ザ・ワールド」(2005)の巻

H.G.ウェルズ 宇宙戦争 -ウォー・オブ・ザ・ワールド [レンタル落ち]

Y木:これ、前回と同じやん…

S原:一般人には区別がつきませんが、今回はこれを紹介しますよ。 

(あらすじ)

天文学者のジョージは、結婚10周年の記念に妻のフェリシティ、息子のアレックスとともにワシントンDCへの旅行を計画していた。しかし旅行当日、謎の彗星が多数出現、調査のため職場から呼び出されたジョージは、2人を先に送り出し、翌日にD.C.で合流することに決めた。だが、移動の途中で突然車が故障する。仕方なく外に出た彼は、そこで信じられない光景を目撃する。彗星が落下した地中から、謎の巨大な殺戮兵器が、その姿を現した・・・

 

S原:一応、これはH.G.ウェルズ原作の正統作品やねん。

Y木:スピルバーグトム・クルーズの「宇宙戦争」と一緒か。

S原:うん。でも、結局はほかのバッタもんB級映画と同じ感じやった。

Y木:そりゃそうやろ。

S原:でも、実は出来はそんなに悪くないねん。もちろんスピルバーグ版ほど、お金はかかってないけど、まあまあやと思うけどな。

Y木:どうせ宇宙人から逃げ回るだけやろ。

S原:まあな(笑)でも、主人公が家族に会いに行くために行動するから、一本筋が通ってるねん。あとは、VFXが割と良い。6本足の宇宙人の兵器のデザインも悪くないし、ゆっくりと動くところも味があるねん。ちょっと「太陽の牙 ダグラム」にでてくるデザートガンナーに似てる。ああ、昔プラモデルが欲しかったなー(遠い目)

Y木:もうええ年してるんやから、自分で買えるやろ。

S原:確かに買おうと思えば買える。でも…あのころの購買への情熱や所有への欲望は、二度と戻ってこない……嗚呼……

Y木:知らんがな。

S原:この映画は、ちょっと特撮部分が面白くてな。宇宙兵器からビームが出て人間が当たった瞬間に、一瞬『人骨』が見える。あと、宇宙兵器の触手にふれたら、顔がドロドロと溶けていく、とか。ちょっと80年代風でええ感じやろ?(笑)いまでは、なかなか見れない手作りな演出で、ここは良かった。

Y木:アナログを楽しむタイプの映画かいな?

S原:そやな。いまさらストーリーに新鮮味もないしな(苦笑)宇宙戦争ものはたくさん作られてるけど、ディテールを面白くして、グイグイと話をすすめれば、それなりに面白くなる……ような気がする。

Y木:ま、単純と言えば単純やしな。

S原:スピルバーグ監督作品とは製作費が違うから、スケールが小さいのは仕方ない。大半は、山道とかで撮影しているしな。でも低予算のわりには、ちゃんと軍隊をだして宇宙兵器と戦う場面とか攻撃で荒廃した町もちゃんとあるで。B級として合格点やと思う。

Y木:おまえの合格点は低すぎて参考にならん。

S原:そういえば、主人公は天文学者やねん。相手は宇宙人やから後半で、その設定が生きてくると思ったけど、とくに意味はなかった…(苦笑)

Y木:B級映画あるある、やな。

S原:宇宙兵器がやってきて、主人公は家族に会うために逃げる。その途中で信仰に厚いおじさん(神父)に出会う。こんな宇宙人に殺されそうになってる状況なのに、家族を失った女性に神様への信仰を説教して、逆にキレられるねん。この神父が、ずっと神様のことを語っていて、かなりうっとおしい(苦笑)ほかにも軍人と出会ったり、そんなエピソードをつなげながら、家族のいる街(DC)を目指していくという変則ロードムービーやねん。

Y木:ほう。最後は?どうやって宇宙人をやっつけるの?

S原:主人公が、狂犬病の薬を注射器で、敵の触手にエイ!って刺すねん。

Y木:うわー……

S原:いや、こういう映画は、これでええねんって。核兵器でやっつけるんじゃなくて、注射器がピッタリ。すごく味があると思うで。

Y木:家族とは再会できるの?

S原:できます。わりとあっさりと見つかります、アメリカ映画ですから、ね♡

Y木:相変わらずやなあ…よく飽きずにこんなんばっかり観るわ…

S原:さすがに疲れてきたけどな…(苦笑)さーみなさん、一連の宇宙戦争バッタもん映画では、宇宙兵器が出てくる場面が少ない方ですが、演出は一番マシです……たぶん。宇宙兵器が襲ってきたときの参考にするためにも、ゲット、プリーズ!