S原:今回は、シュワちゃんですよ!
Y木:おー、なつかしー!
(あらすじ)
ダニー少年はアクション映画のヒーロー、ジャック・スレイターの大ファン。
ある日老映写技師に貰った魔法のチケットを手にスレイター最新作を見ていたダニーに、凄いことが起こった。突然スクリーンからダイナマイトが飛び出すと、次の瞬間ダニーはスレイターが運転する車の後部座席にトリップ。なんとダニーは上映中の映画のなかに入り込んでしまったのだ!
Y木:シュワちゃんか。懐かしいな。
S原:もういまのヤングには、ただの体の大きなおじいさんかもな。
Y木:そうやな。
S原:「ターミネーター」シリーズで一世風靡をしたのも、今は昔。一応はいまでもスター扱いやろうけど、旬の時期はとっくに過ぎて、たまに映画に出てお小遣い稼ぎをする、という立ち位置やな。
Y木:ええなあ、そんな立ち位置(笑)
S原:ほんまになー。でも、この映画の頃はシュワちゃんの上り調子というか、そういう頃の1本やねん。やけど、ふたを開けたら予想外に大コケして、もしかしたらキャリアが終わるかもと陰口をたたかれてしまったという(笑)
Y木:まあ、そのあと無事にヒット作がでてよかったで。
S原:そのあとが「トゥルーライズ」(1994)「ジュニア」(1994)。たしかに盛り返したな。
Y木:あのまま、マイケル・パレみたいになってもおかしくなかったやろ。
S原:せめて、ドルフ・ラングレンと言ってあげて。
Y木:どっちもどっちやがな。
S原:まあそれはええとして、これ当時の映画ファンは覚えていると思うで。だってめちゃくちゃ宣伝したから。テレビや雑誌はもちろん、ビルくらいのシュワちゃんの人形を作ったり、とにかく物量作戦でアピールしてた。その結果、失敗作やったから、よけいに叩かれたんとちゃうかな。
Y木:おまえ、当時これ映画館で観たの?
S原:観たで。確か封切でなく、3本立の2番館で観た。これが3本目で最後はめちゃくちゃしんどかったのを覚えてる(苦笑)さすがに、これはあなたも観たんとちゃうの?
Y木:たしか観た…はず。でもきれいさっぱり忘れてる!
S原:たしかに忘れてしまうような映画やけどな。
Y木:それにしても、おまえこんな映画ばっかり、3本立って…よう観るわ。
S原:まあ、当時は時間だけはあったから。しかも、ほかの2本はどんな映画やったかもう忘れてる(笑)
Y木:今回、ワゴンで見つけて久しぶりに再見したってことやろ?どうやった?
S原:昔、観たときに「だるい映画やなー」「長く感じるなー」って思ったけど、今回も同じやった(笑)
Y木:やっぱりな。この映画って、映画秘宝とかでもクソミソに書かれてたやろ。具体的には、どういうところがあかんの?
S原:一言で言うと、冗長・散漫・どっちつかず。
Y木:ははあ、退屈やねんな。
S原:そうそう。これ、撮影はちゃんとしてるねん。セットもちゃんと作ってるし、アクションもお金をかけてる。だけど、どれもこれも今まで観たようなシーンばっかり。
Y木:でも、アクションスターの映画って、それでOKなんとちゃうの?
S原:いやー、やっぱり工夫は要るで。同じジャッキーの映画だって、「五福星」(1983)と「七福星」(1985)はやっぱり別物やん?
Y木:一緒や一緒!
S原:いや、似たような映画でも工夫はないとあかんって話やで。
Y木:でも、この映画で言うと、工夫はあるんやん。映画のスターをシュワちゃん自身が演じるし、そのスクリーンの中に男の子が入ってしまう。メタフィクションの要素もあるし、面白くなりそうやけどな。
S原:それが、そうならんところがなんともまた…(苦笑)結局、キャラクターが平凡というか、魅力がないんやろうな。とにかくワクワクドキドキしない演出です。もう、このあたりの解説というか評論は山ほどあるから、そっちを読んでくださいませ。
Y木:おいおい。これって監督は、ジョン・マクティアナンやろ。一時期はスター監督やったけど。
S原:そうそう。でも、面白いのは「ダイ・ハード」(1988)のみ。あとは死屍累々やもんな。「ザ・スタンド」(1992)なんか、自然保護の映画やのに、主人公が自然の中で自分だけのゴルフを楽しむねんで。「ローラーボール」(2002)なんかローラスケートとバイクが走るだけ…
Y木:知らんわ、そんな映画。
S原:とにかく。この映画は①全編にわたりのんびりムードが漂い、②ぬるいアクションがあり、③中途半端な登場人物たちがいて、④どうでもいい行動する、そんな映画です。
Y木:ひどいなー。これって、いまとなってはカルト作にもなっていないの?
S原:なってません。ただ単に、昔のしょーもない映画です。
Y木:どうしようもないな…
S原:さあ、みなさん。なんとなく有名ですが、観た人のほとんどが「観たこと自体を忘れている」という不思議な現象を巻き起こしている珍作ですよ!いかがですか?せっかく映画を観ても、なんの感想も起こらないという稀有な体験をしたいあなた!あなたのために、この映画は存在します。さあ勇気のある人はぜひみてくださいませ!