あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

酷評されている映画を観てみる!「ラスト・アクション・ヒーロー](1993年)の巻

ラスト・アクション・ヒーロー - 作品 - Yahoo!映画

 S原:今回は、シュワちゃんですよ!

Y木:おー、なつかしー!

(あらすじ)

ダニー少年はアクション映画のヒーロー、ジャック・スレイターの大ファン。
ある日老映写技師に貰った魔法のチケットを手にスレイター最新作を見ていたダニーに、凄いことが起こった。突然スクリーンからダイナマイトが飛び出すと、次の瞬間ダニーはスレイターが運転する車の後部座席にトリップ。なんとダニーは上映中の映画のなかに入り込んでしまったのだ!

 

Y木:シュワちゃんか。懐かしいな。

S原:もういまのヤングには、ただの体の大きなおじいさんかもな。

Y木:そうやな。 

S原:「ターミネーター」シリーズで一世風靡をしたのも、今は昔。一応はいまでもスター扱いやろうけど、旬の時期はとっくに過ぎて、たまに映画に出てお小遣い稼ぎをする、という立ち位置やな。

Y木:ええなあ、そんな立ち位置(笑)

S原:ほんまになー。でも、この映画の頃はシュワちゃんの上り調子というか、そういう頃の1本やねん。やけど、ふたを開けたら予想外に大コケして、もしかしたらキャリアが終わるかもと陰口をたたかれてしまったという(笑)

Y木:まあ、そのあと無事にヒット作がでてよかったで。

S原:そのあとが「トゥルーライズ」(1994)「ジュニア」(1994)。たしかに盛り返したな。

Y木:あのまま、マイケル・パレみたいになってもおかしくなかったやろ。

S原:せめて、ドルフ・ラングレンと言ってあげて。

Y木:どっちもどっちやがな。

S原:まあそれはええとして、これ当時の映画ファンは覚えていると思うで。だってめちゃくちゃ宣伝したから。テレビや雑誌はもちろん、ビルくらいのシュワちゃんの人形を作ったり、とにかく物量作戦でアピールしてた。その結果、失敗作やったから、よけいに叩かれたんとちゃうかな。

Y木:おまえ、当時これ映画館で観たの?

S原:観たで。確か封切でなく、3本立の2番館で観た。これが3本目で最後はめちゃくちゃしんどかったのを覚えてる(苦笑)さすがに、これはあなたも観たんとちゃうの?

Y木:たしか観た…はず。でもきれいさっぱり忘れてる!

S原:たしかに忘れてしまうような映画やけどな。

Y木:それにしても、おまえこんな映画ばっかり、3本立って…よう観るわ。

S原:まあ、当時は時間だけはあったから。しかも、ほかの2本はどんな映画やったかもう忘れてる(笑)

Y木:今回、ワゴンで見つけて久しぶりに再見したってことやろ?どうやった?

S原:昔、観たときに「だるい映画やなー」「長く感じるなー」って思ったけど、今回も同じやった(笑)

Y木:やっぱりな。この映画って、映画秘宝とかでもクソミソに書かれてたやろ。具体的には、どういうところがあかんの?

S原:一言で言うと、冗長・散漫・どっちつかず。

Y木:ははあ、退屈やねんな。

S原:そうそう。これ、撮影はちゃんとしてるねん。セットもちゃんと作ってるし、アクションもお金をかけてる。だけど、どれもこれも今まで観たようなシーンばっかり。

Y木:でも、アクションスターの映画って、それでOKなんとちゃうの?

S原:いやー、やっぱり工夫は要るで。同じジャッキーの映画だって、「五福星」(1983)と「七福星」(1985)はやっぱり別物やん?

Y木:一緒や一緒!

S原:いや、似たような映画でも工夫はないとあかんって話やで。

Y木:でも、この映画で言うと、工夫はあるんやん。映画のスターをシュワちゃん自身が演じるし、そのスクリーンの中に男の子が入ってしまう。メタフィクションの要素もあるし、面白くなりそうやけどな。

S原:それが、そうならんところがなんともまた…(苦笑)結局、キャラクターが平凡というか、魅力がないんやろうな。とにかくワクワクドキドキしない演出です。もう、このあたりの解説というか評論は山ほどあるから、そっちを読んでくださいませ。

Y木:おいおい。これって監督は、ジョン・マクティアナンやろ。一時期はスター監督やったけど。

S原:そうそう。でも、面白いのは「ダイ・ハード」(1988)のみ。あとは死屍累々やもんな。「ザ・スタンド」(1992)なんか、自然保護の映画やのに、主人公が自然の中で自分だけのゴルフを楽しむねんで。「ローラーボール」(2002)なんかローラスケートとバイクが走るだけ…

Y木:知らんわ、そんな映画。

S原:とにかく。この映画は①全編にわたりのんびりムードが漂い、②ぬるいアクションがあり、③中途半端な登場人物たちがいて、④どうでもいい行動する、そんな映画です。

Y木:ひどいなー。これって、いまとなってはカルト作にもなっていないの?

S原:なってません。ただ単に、昔のしょーもない映画です。

Y木:どうしようもないな…

S原:さあ、みなさん。なんとなく有名ですが、観た人のほとんどが「観たこと自体を忘れている」という不思議な現象を巻き起こしている珍作ですよ!いかがですか?せっかく映画を観ても、なんの感想も起こらないという稀有な体験をしたいあなた!あなたのために、この映画は存在します。さあ勇気のある人はぜひみてくださいませ!

酷評されてる映画を観てみる!「リアル鬼ごっこ 2015劇場版」(2015)の巻

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S原:今回は、酷評だらけのこの映画!

Y木:うわー、しょーもなさそうやな。

(あらすじ)

彼女たちの名前はミツコ、ケイコ、いづみ。全員、女子。
3人は同じ学校のクラスメート?それとも、まったく見知らぬ女子高生なのか?
平和な日常は突如崩れ去り、“クライマックス”が一気に押し寄せる。木々の風、森の風、押し寄せる風。女子しかいない風景。女たちの通り。誰かがいつでも見つめている。いくつもの視線。それが風になり、凶暴な疾走となり、凶器となる。いったい、何のために追われるのか?

 

Y木:これ、上のあらすじ読んでも全然わからんぞ。

S原:うん。映画観てもわからんかった。

Y木:なんやねん、それ。鬼ごっこの話なんやろ?

S原:これはなー、じつは鬼ごっこの映画とちゃうねん。なにかの隠喩とは言えなくもないけど…とにかく、この映画は評価がメチャクチャ低い。もう可哀そうなくらいな低評価。こんなにダメ出しばっかりのレビューやと、逆にフォローしようかと思ったくらい(笑)

Y木:おまえにフォローされても、監督は嬉しくないやろうな。

S原:監督は園子温。批評家からの評価は高いし、たくさんの賞を獲ってる。ぼくはこれが初体験。いままで観たかったけど、園子温監督の作品はなかなか縁がなかったのよ。いやあ、選択を間違えたなあ。これを観た後では、ほかの映画を観る気がなくなってしまった…(苦笑)

Y木:そんなにヒドイの?

S原:ヒドイと言うかなんと言うか…

Y木:メチャクチャさを楽しむ映画やろ?

S原:そうなんやけどな。もう「ツッコミどころ」が満載過ぎて、重量オーバーやで(笑)

Y木:あー、穴だらけなんや。

S原:そうそう。ちょっとネットでのレビューをまとめると、①そもそも鬼ごっこじゃない。②ストーリーがわけがわからない。③ブラックコメディなのかシリアスなのか捻ったホラーなのか意味不明。④シュールな世界観をだすのに失敗している。⑤やたらとパンチラが多い。⑥女の子たちがかわいく撮れていない。⑦トリンドル玲奈の足が細すぎて気持ち悪い。⑧斎藤工のビキニパンツが気色わるい。⑨主人公が変わる(トリンドル玲奈篠田麻里子真野恵里菜)演出が失敗している。⑩ラストのオチが理解できない。

Y木:ボロクソやがな。

S原:まあ、ネットで書かれている通りなんやけどな(笑)ぼくは、ほんまに予備知識がなく観たから、すごい破壊力というか「破綻力」で驚いたわ。

Y木:破綻してるんや。

S原:それもわざとなのか、マジなのかちょっとわからんところが不気味やな。ここまでぶっとんだ映画も珍しい。ただ楽しめたか?と言われると、ちょっとな。

Y木:一部マニアからの支持とかないの?

S原:どうなんかな。すべてのレビューをみてないからわからんけど…園子温監督のファンか、しいていうなら切株マニアは喜ぶんとちゃうやろか?あなた、「切り株」ってわかる?

Y木:わからん。

S原:一瞬でスパッと切断される人体の描写のことやねんけどな。こういう「切株マニア」がおるらしい。確か映画秘宝でも特集されてたと思う。

Y木:スプラッターってことやな。

S原:うん。好きな人にはたまらんらしい。ぼくは全然興味ないからな。とくに怖くないし、作りものにみえるだけやった。

Y木:切り株の描写があるんや?

S原:いきなりでてくる。バスに乗っている女性高校生(40人くらい)が、バスごとスパっと横一直線に切り取られる。あとは、切断後の下半身だけが残っている。そこから血がぴゅーぴゅー飛び出す。主人公だけは、しゃがんでて助かる。それがファーストシーン。

Y木:ああ、好きな人にはたまらんやろな。でも、なんで切断されるの?ピアノ線が張ってた、とか?

S原:「風」が原因みたい。かまいたちみたいな風という設定やろうな。そこから、主人公(トリンドル玲奈)は血だらけになって逃げ回るねんけど、いつのまにか、どこかの女子高の通学路になってて、自分自身が知らないうちにその高校の生徒になっている。知らない友人たちが話しかけてきて……と展開していく。

Y木:ほう。パラレルワールド風やな。

S原:学校をサボって逃げ出した湖で、友人がいきなり「シュールな世界を受け入るのよ」とか「自分でも予想できないことを、いきなり行動するのよ」とか意味深なことを喋る。もちろん、この場面はこのパラレルワールドの設定を暗示・説明しているけど、あんまり上手くないからよく呑み込めない。そうこうしているうちに学校の先生たちがいきなりマシンガンで生徒を襲ってくる。また女子高生たちがキャーキャー叫びながら逃げたり、血だらけになって死んでいく。

Y木:なんで先生が生徒を襲うの?

S原:理由も意味もない……はず。とにかく主人公たちは逃げ回る。その最中に、主人公の容姿が篠田麻里子に入れ替わる。いまは結婚式の直前で、教会で式を挙げることになっている設定に変わる。結婚式に行くと、新郎は豚やねん。

Y木:ははあ、悪夢みたいに話が続いていくわけね。

S原:その通り。ここでもシュールな残虐シーンがあって、また主人公は逃げる。そのうちに、今度は真野恵里菜にかわる。今度は陸上選手という設定。

Y木:なんかだかなあ。それって、オチと言うか説明はあるの?

S原:一応あるけど、よくわからんかった。大きな洞窟みたいなところを脱出すると、斎藤工がいる。おまえは、ゲームの世界のキャラクターだと言われる。なぜか白いビキニパンツ姿になって、ベッドにおいでと言われる(笑)

Y木:おいおい。

S原:シュールな悪夢のような世界とか複雑な入れ子構造とか現実とバーチャルな世界との融合を狙ったんかな。どっちにせよ、ぼくにはピンとこなかった。

Y木:結論としてはどう?

S原:うーん。変な確かに映画やけど、酷評するほどでもないような気がする……いやー、やっぱり酷評されても仕方ないかな。単純に面白くないし(笑)

Y木:そうなんや。

S原:さっきも言ったけど、いろんな場面で「肩透かし」をくらうから、観ている人は戸惑うわけよ。確信犯なんやろうけど、観客の戸惑いが悪いほうに転んでしまったような気がする。でも考えようによっては、なかなかチャレンジ精神のある映画なんやけどな。

Y木:おれはまったく観る気がしないけどな。

S原:さあ、みなさん。この映画を観た人は、賛否真っ二つだと思います。普通の映画に飽きた人はぜひチャレンジを!パンチラ好きならゲットして損はないと思いますが、意外とエロくないです。それも含めて、なかなか規格外の仕上がりになっています。意外とレンタル店にも置いていないので、観る機会があれば逃さずにどうぞ。でも、買うほどではないと思いまーす!

酷評されている映画を観てみる!「プルート・ナッシュ」(2002)の巻

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S原:さあ、だれも褒めない映画シリーズ。まだまだ続きますよ。今回はこちら!

Y木:おお、エディ・マーフィー!しかもSF!

(あらすじ)

時代は2087年の月の世界。天然資源が掘り尽くされた月は荒れ果て、金とコネさえあればなんでも手に入る無法地帯になっていた。そんな世界でプルート・ナッシュ(エディー・マーフィ)は、月の街随一のホットなクラブのオーナーだ。ある日、正体不明のギャングからのクラブ売却の申し出を拒否したことで、ナッシュはトラブルに巻き込まれ、月の支配をもくろむレックス・クレイターから狙われるハメに。ナッシュは時代遅れのボディガード・ロボット(ランディ・クエイド)と、歌手を夢見る地球の住民ダイナ(ロザリオ・ドーソン)とともにレックスに立ち向かってゆくのだが……。

 

S原:さあ、珍作映画ファン、失敗作マニアが垂涎のこの映画も登場です!主演は、黒き笑顔がバッチグー!われらがブラザー、エディ・マーフィー

Y木:ブラザーちゃうわ。

S原:いやあ、この映画はずっと探してたのよ。ほんまに珍作で有名やねん。マニアの間では伝説やからな。

Y木:世の中には、いやな連中が存在するねんな。

S原:この映画はかなり製作費がかかってるねん。でも、映画会社の幹部向けの試写での「おいおい、マジかよ?」「これが、俺たちのエディかよ」「こんなヒドイ映画を公開できねーよ」「こんなクズみたいな映画を作りやがって。とにかく、倉庫に眠らせておけよ」「監督に会ったら、浣腸してやる!」という会話があったらしいで。

Y木:また、勝手に妄想するな。なんやねん、浣腸って。

S原:実際、あまりの出来の悪さにしばらく公開延期。2年後に、映画会社の幹部が「いや、倉庫に眠らせておいても仕方ないんじゃね?」「そうかもな。意外といまのヤングには受けるかもよ?」「ワインも何年か熟成させたら、良い味になるやろ?」「それもアリやな。よっしゃ、公開決定!」って感じで劇場公開したらしいわ。

Y木:そろそろ妄想をとめろ、きもいから。で、結局はどうやったの?

S原:お客さんがだれも観に行かず、大赤字やった。

Y木:やっぱりな。どういうところがあかんの?

S原:うーん。例えば、すごくお金をかけて「バナナですべって転ぶ場面」を撮ったとして、それはおもろいと思う?

Y木:思わん。

S原:そういうことやねん。

Y木:どういうことやねん!

S原:あーわかりにくかった?そうやな、例えば、すごくお金をかけて「くしゃみをした勢いで、ズボンがずり落ちた場面」を撮ったとして、それはおもろいと思う?

Y木:思わん。

S原:そういうことやねん。

Y木:だから、どういうことやねん!ちゃんとわかるように言ってくれ。

S原:要するに、ひたすらぬるいねん。

Y木:ぬるい?

S原:あらすじは上の通り。これを読んでも、とくに興味はもてないやろ?ほんまに、このままのストーリーをなぞるだけやねん。とくに、伏線の張ったドラマがあるわけでなく、アクションがあるわけでもなく、キャラが魅力的でもなく、エディのトークがあるわけでなく、SF的風景がすごいわけでもなく、ラブロマンスでもなく、皮肉や風刺があるわけでもなく…

Y木:わかった、わかった。おもしろないのはわかった。

S原:一番、つまらんのはエディの、あの『顔面スマイル』がないこと。唯一無二のあの笑顔がないと、つまらんわー。

Y木:とくに、(エディが)大笑いする場面がなかっただけとちゃうの?

S原:そんなん、いくらでも作れるやん。それこそ、「通行人がバナナで滑って、それを見たエディが大笑いする」でもアリやろ?

Y木:アリちゃうわ。

S原:ともかくエディも元気がないし、なんかすべての点で中途半端やねんなー。

Y木:どんでん返しとかもないの?

S原:一応、ラストにエディ・マーフィーが2人でるねん。エディ本人が演じている悪役。これが一応、どんでん返しかな。

Y木:えー、古くさー。

S原:古くさいよ、SFやのに(笑)えーと、クローンという設定やったかな。でも、どうでもええよ。エディが2人でてきて映像に黒い部分が増えただけやったわ。

Y木:こらこら。おまえ、ファンちゃうんか。

 S原:いや好きなんやけどな。このブログで「ビバリーヒルズコップ3」(1994)も紹介したくらいやし。

Y木:あの映画もボロクソにつっこんでたがな。

S原:なんにせよ、この映画はちょっとな……うーん、この映画自体は訳が分からんとかじゃないねんで。ちゃんとセットにお金もかけてるしな。でもなー、これを「超大作」と宣伝してしまうと、さすがにガクッとくるよな。同じように超大作で宣伝された「バトルランナー」(1987)の感じによく似てるかもしれん。せっかく正月に劇場に行ったのに、シュワちゃんのレオタード姿をみて、新年早々気分が萎えるみたいな(笑)あ。「バトルランナー」もこのブログで紹介しているから、みなさん読んでください♡

Y木:なんやねん。まあ「バトルランナー」みたいに、エディがレオタードになってないだけ、こっちがマシかもな。

S原:いや、むしろ足りなかったのは、そういうぶっ飛んだ設定やったかも(笑)この映画は、普通と言えば普通やねんで。コーヒーを注文したらちゃんとコーヒーは出てきてるねん。でも、場末の喫茶店で、300円の薄いコーヒーを飲んでも文句はでないけど、スターバックスで600円の不味いコーヒーがでたら、SNSでみんな文句を書き込みまくるやろ?あれと一緒やな。

Y木:なにが一緒なんかわからんけどな。映画はだるいのね。

S原:だるいというか、なんか、明治時代の正月みたいなムードの映画やねん。ひたすら、スローでのんびり(笑)日本酒とか呑みながら観るとちょうどええかもしれん。

Y木:はあー(ため息)

S原:さー、みなさま。「過去の人」になりかかっていた時期の映画ですが、とにかくエディが大好きな人だけにおススメします。珍作、失敗作ファンの人はもうチェック済だと思います。みなさん、この映画をワゴンで見つけたら、今後30年はだれも買わないはずなので、ゲットしてあげて下さーい!

酷評されている映画を観てみる!「ギャラクシー街道」(2015)の巻

S原:ついに出会いました。今回は、失敗作として名高いこの映画です!

Y木:おお!

 (あらすじ)

時は西暦2265年、地球を結ぶスペース幹線道路・ルート246666を、人は「ギャラクシー街道」と呼んだ。今日も、様々な星から宇宙人たちが「ギャラクシー街道」にやって来る。みんな、それぞれに悩みを抱えた、人間味溢れる異星人だ。街道の中央にひっそりと佇む、小さなハンバーガーショップ、サンドサンドバーガー・コスモ店を舞台に、そこで働く人々と、客たちが織りなす、宇宙人模様。宇宙人だらけの三谷流スペース・ロマンティック・コメディの幕が上がる! ! ! 

 

S原:この映画はめちゃくちゃ評価が低いねん。

Y木:へえ、そうなんや。

S原:公開当時は、ダメ映画として少し話題になったけど、いまや誰も口にしない。「デビルマン」(2004)とか「北京原人who are you?」(1997)とか「キャシャーン」(2004)とかは、ダメ映画マニアに、いまだに可愛がってもらってるやろ?

Y木:監督が望んだ可愛がられ方じゃないけどな(苦笑)

S原:そして誰にも可愛がってもらえないまま、このDVDはワゴンコーナーの片隅で最期を待つ、と……

Y木:そして、おまえに見つけられる、と(笑)

S原:それにしても、大々的にロードショーをして有名な俳優を並べてこんなに評価の低い映画も珍しい。

Y木:そうかー?ボロカスに言われる映画って、いつの時代もあるやん。

S原:それでもフォローする人はおるやん。「カットスロートアイランド」(1996)とか「R100」(2013)でも、好きな人はおるから。でも、いまだかつてこの映画を好きという人に会ったことない。

Y木:別にこの映画を好きでもええがな。それで、結局、おまえはどうやったの?

S原:予想通り面白くなかった。

Y木:面白くないのを確認するために、わざわざDVDを買ったんか。なんてもったいない人生の使い方や。

S原:あーそうね。でも、あんまり褒めるところがないから、逆に良いところを探したくなるのよ。

Y木:へえ、じゃあホメてよ。

S原:……そう言われると困るな。

Y木:なんやねん。パッケージをみると、レトロSF調なんやろ。セットとかそのへんは?

S原:なんか小汚かった。

Y木:じゃあ衣装は?

S原:高校の文化祭のコスプレみたいやった。

Y木:演技は?

S原:不自然なコントみたいやった。

Y木:話は?

S原:ただ単にエピソードの羅列やった。

Y木:ギャグは?

S原:どれもスベッてる。

Y木:ええとこないやないか!

S原:ほんまにこんな映画やねんて!とにかく、何がしたいのかわからんねん。

Y木:でも三谷幸喜ってファンも多いし、評価の高い人なんやろ。もちろん、おれは観たことないけどな(笑)

S原:三谷幸喜くらい観てくれよ。ぼくは「ラジオの時間」(1997)と「ザ・マジックアワー」(2008)が好きなんやけどな。とにかくこの映画は変やねん。でも、フォローするわけじゃないけど、映画を作り続けていると巨匠でもたまに場外大ファールを放ったりするやん。大林の「漂流教室」(1987)とか、コッポラの「ワン・フロム・ザ・ハート」(1982)とか。

Y木:黒澤明の「どですかでん」(1971)とか(笑)

S原:まあ、そういう位置づけと考えればええんかなあ。かなりムリヤリやけど(笑)

Y木:実際に観てないし、ネットの評判も知らんから、そこまでボロカスに言われる理由がわからん。具体的にはどういうところがあかんの?

S原:もうネットでは散々書かれてるから、そっちを見てほしい。みんな的確に叩いてるから(笑)すこしだけ話すと、例えば宇宙人(梶山善)がベロを出して、香取慎吾の顔を舐める。べローンって。香取慎吾は嫌な顔をする。

Y木:それで?

S原:それだけ。

Y木:えー…

S原:ことあるごとに、大竹しのぶは煙草を吸ってイライラする。禁煙の場所だから注意されるけど、つい煙草を吸ってしまうねん。

Y木:それで?

S原:それだけ。

Y木:あー…そう。

S原:あとは、小栗旬がかっこわるいウルトラマンもどきに変身する。だけど役に立たない。

Y木:それで?

S原:それだけ。

Y木:はあー…

S原:あとは、どんなエピソードがあったかな。あーそうそう、香取の元カノがものすごく汚くハンバーガーを食べる。それだけ。

Y木:なんやねん!ほんまに、おもろないやないか!

S原:ほんまやねんって。とにかく全編こんな感じで、ぬるま湯のようなエピソードが続くだけ。

Y木:オフビートなコメディを狙ったんとちゃうの?

S原:そうなんかなー。どっちにせよ覚悟をして観たぼくの予想をはるか上をいっていた。相手のほうが1枚上手やった(笑)

Y木:最後は?

S原:経営難で店を閉めようかと考えている香取慎吾を、綾瀬はるかが励ます。「がんばりましょ!」って。

Y木:それで?

S原:それだけ。

Y木:あーもー!

S原:さあ、みなさん。とにかく理解不能な映画ですが、一応これで完成はしているようです。おそらく数年のうちに三谷幸喜が封印して2度とDVDが再販されることはないでしょうし、フジテレビの力で我々の記憶を消し去ることも考えられます。そんな日が来る前にワゴンでみつけたらマストバイですよ!いやあ、ほんまに脱力した珍品映画やった!

酷評されてる映画を観てみる!「ナラタージュ」(2017)の巻

 

ナラタージュ DVD 通常版

S原:さあ、今回は松潤有村架純のW主演のこれ! 

Y木:ラブストーリーか。このブログでは珍しいな。

(あらすじ)

大学2年生の春。泉のもとに高校の演劇部の顧問教師・葉山から、後輩の為に卒業公演に参加してくれないかと、誘われる。葉山は、高校時代、学校に馴染めずにいた泉を救ってくれた教師だった。
卒業式の日の誰にも言えない葉山との思い出を胸にしまっていた泉だったが、再会により気持ちが募っていく。二人の想いが重なりかけたとき、泉は葉山から離婚の成立していない妻の存在を告げられる。
葉山の告白を聞き、彼を忘れようと決意した泉は、自分を想ってくれる大学生の小野との幸せに傾きかけるが、ある事件が起こる――。

 

S原:これはあかん。

Y木:へえ。

S原:ほんまにあかん。

Y木:そうなんや。

S原:マジで、これはあかんねんって。

Y木:わかったわ。しつこいねん!

S原:いやあ、言わずと知れた嵐の松本潤有村架純のラブストーリーなんやけどな。ちょっとなー。

Y木:主演の2人のファンにとっては、胸キュン映画なんとちゃうの?

S原:どうなんかなあ……うちの奥さんは嵐の大ファンやねん。それで友達とこの映画を観に行ったらしいけど。2人も途中で寝そうになったらしい。映画が終わったら、劇場中が「……これ失敗作だよね?」っていう雰囲気が充満してたらしい(笑)

Y木:ファンでもそうなるんか。それはキツイな。どういうところがダメなん?

S原:とにかく、だるい。その一言に尽きる。

Y木:ゆっくりってことか。そういう映画もアリやろ。

S原:でも、ゆっくりと言っても限度があるやろ?いまをときめく2人の恋愛映画やで?タルコフスキーか、ソクーロフの映画かと思ったで(笑)

Y木:ラブストーリーやのにソ連風かい(笑)映像がキレイなんとちゃうの?

S原:いや別に。普通やった。ナラタージュって映画とかの回想する技法のことらしい。そのせいかもしれんけど、回想シーンがやたらと多い。大して重要でないエピソードも回想シーンで全部説明する。どうも映画のリズムが乱れるねんなあ。

Y木:でも、ゆったりと時間が流れる中で、回想も織り交ぜながら男女の心の機微を描く…そんな映画ってあるやん。それが狙いとちゃうの?

S原:いやあ……もう意図や狙いもわからんくらいの映画やった。これは、10年後には「珍作」として有名になる可能性を秘めてるで(笑)

Y木:いやな可能性やなあ。でも、まあ映画全体の出来は良くないかもしれんけど、2人がかっこよく・かわいく撮れてればOKとちゃうの?

S原:まず有村架純はかわいく・きれいに撮れてる。でも、うちの奥さん曰く「有村架純はこの時期がピーク。あとはどんどん容姿が衰えていく」らしい。

Y木:……おまえの奥さんも辛辣やな。

S原:それよりも問題は、松潤やで!この映画では、ほんまにカッコ悪いねん!

Y木:そりゃ、元・教え子恋に落ちる話やろ。男として情けなかったり、カッコ悪い部分も描かなあかんやん。

S原:ちゃうちゃう。そういう意味じゃなくて、容姿がダサいねん。

Y木:おまえ、全国区のアイドルにむかって…

S原:ほんまやねんって!だってほら、このDVDのジャケットのメガネ姿も変やろ?

Y木:まあな。

S原:でも、この写真はすごく良く撮れてるねんで(笑)誰でも顔の角度や表情で、雰囲気が変わるやん。でもこの映画の松潤は「変な顔」ばっかり。よくもまあ、こんな変顔ばっかり撮るよなと感心したで(苦笑)別にファンとちゃうけど、これでは松潤が可哀そうやわ。

Y木:そんなにカッコ悪いの?

S原:うん。そもそもメガネが似合ってない。後半メガネ外すシーンがあるねんけど、さらにカッコ悪く撮ってた。この監督(行定勲)、頭がおかしいとちゃう?

Y木:言いすぎやろ。それは…そのー…たぶん松潤の新しい面を見せたかったんやろ。いつもの『カッコいい雰囲気じゃない部分』をだしたかったんとちゃうの?俳優としての新しい一面!みたいな。

S原:そんなん、この映画に誰が求める?観客はかっこいい・大人の色気のある松潤を期待するっちゅーねん。演技とかそれ以前の問題。もうぼくには理解不能なり。

Y木:ぼろくそやがな。映画としては、それでも、なにか「売り」があったんやろ?

S原:一応、「有村架純のベッドシーン」とやっぱり「禁断の愛」やろうな。

Y木:へえ。ベッドシーンか。

S原:全然大したことないよ。キレイには撮れてるけど、男性諸君は「そういうのが見たいわけちゃうねんって!」とガッカリする撮り方やし(苦笑)

Y木:日本映画あるあるやな。禁断の恋のほうは?高校教師と元・教え子という設定やろ?

S原:それでも、有村架純はもう20歳という設定やで。たしかに松潤は実は結婚してるから、不倫と言う要素もあるけど。

Y木:元教え子と不倫か。結構、テーマは重いやん。松潤はかなり悩むんやろ?

S原:うーん、それがなあ。なんか悩んでいるみたいやねんけど、やっぱり演出が悪すぎて、何を考えてるか全然伝わらへんねん。それでも、まだ松潤有村架純の2人のやりとりや会話は、まだマシなほうかなあ。

Y木:他があかんってこと?

S原:有村架純の恋人とか友達とか松潤の妻とか、なんか感情移入できないキャラクターやエピソードばっかりでな。松潤の生徒が自殺したり、松潤の妻が心を病んで家に火をつけたり、有村架純の恋人が気持ち悪かったり…

Y木:聞いてる分には、普通のエピソードばっかりやけどな。

S原:ということは、やっぱり演出が変ってことやで。どれもこれも歯車がかみ合ってなくて、もう背中がムズムズしっぱなし(笑)現実にはいないような登場人物が、大したことのないエピソードを、いかにもドラマチックなように(心が動いているように)、ゆったり平坦に映し出す……これが2時間以上続くんやで。もう拷問やがな(笑)

Y木:おいおい。今回は愚痴ばっかりやがな。

S原:うーん、同じ年の映画で「昼顔」(2017)ってあったやろ。斎藤工上戸彩主演の映画。はじめてみたときは感心しなかったけど、この映画を観た後に「昼顔」がいかにまともな映画かよく分かったわ。だって登場人物の心情が理解できるもん(笑)

Y木:おいおい。この映画を製作した人たちもふざけて作ったわけとちゃうやろ?

S原:まあ一所懸命に作ったんやろうけど、これでは俳優たちは報われない。製作する側のポイントがズレてるんかなあ。あーもー、このもどかしさをどう伝えればええんや!

Y木:ここまでボロクソに言われると、ちょっと可哀そうになるなあ。おれ、はじめてこのブログでフォローする気持ちになったかも(苦笑)

S原:さあみなさん。この映画を好きという人を否定はしません。これで感動すればそれでハッピーです。それぞれの人生を謳歌しましょう。有名作品のわりに、驚くほどレビューの少ない映画ですが、ここまで俳優の魅力を削ぐ映画はあまりみれませんよ。そういうわけで、この映画をワゴンで見つけても、気づかなかったふりをしてくださーい!

酷評されてる映画を観てみる!「NIN × NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」(2004)の巻

S原:今回は、これですよ、ニン!

Y木:藤子不二雄Aのマンガやな。

(あらすじ)

  忍者ハットリくんこと、服部カンゾウは、父ジンゾウに最後の修行として課せられたのは「主以外には誰にも知られずに、現代の江戸で暮らせ」というものだった。さっそく東京にやってきたカンゾウは、小3のケンイチを主に選ぶ。カンゾウの忍術の数々に驚きながらも、ふたりの間には友情が芽生えていくのだが…

 

S原:われわれ世代には懐かしいやろ。この映画自体も劇場公開されたのが15年以上前やから「ああ、あったなあ。こんな映画…」っていう人が大半やろな。

Y木:これは、酷評されてる映画の括りなんや?

S原:うん。まず有名作なのにレビューが少ない。あっても「ひどい」「最低」かもしくは、「退屈ではないけど」「わりとマシ」、そんなんばっかり。

Y木:そういうおまえもつっこむためにこの映画を観たやろ?

S原:最初は思いっきりバカにして観始めた。でも、ちゃんと最後まで観れるねん。

Y木:ほんまかいな。

S原:本当でござる。これはこれでええと思うで。

Y木:どういうところが、ええの?

S原:この映画は、完全に子供向きで作られてる。要するにテレビドラマの2時間版やな。製作者も出演者もそれを理解して仕事してる。これでいいと思う。同じ香取慎吾主戦でも「座頭市」(2010)よりも断然良いよ。

Y木:あれと比べたらあかんやろ(苦笑)それにしても子供向きか。ドラえもんの映画みたいなもんか?

S原:基本的には同じと思うけど、あれよりもさらに低年齢向けかも。それにアニメでなく実写やから、ちょっと印象が変わるかな。香取慎吾が忍者姿で登場したときは、メチャクチャ違和感あるしな。え?ハロウィンのコスプレ?って(笑)

Y木:コスプレやと観客に思われたらダメでしょ。

S原:不思議なことに観ているうちに慣れる。毎回、すごい薄味のカレーを食べてたら、それがスタンダードになるみたいなもんでござるよ。

Y木:なんか例えが間違ってるような気がする。

S原:このブログで取り上げるのは、ほとんどB級映画ばっかりやけどな。B級映画のくせに、欲張ってちょっとテーマを複雑にしたり、思わせぶりな場面かカットがあったりして鼻白むことがあるやん。

Y木:B級映画のくせに…って。好きで観ているくせにおまえが言うか。

S原:まあな。どこかA級面したりするときってあるやろ?でもこの映画では、まったくない。もうこれは完全にテレビ&子供向けと割り切っていて、いっそ気持ちいい。

Y木:へえ、意外とおもろいんや?

S原:いや、しょーもないよ。

Y木:どないやねん!

S原:こんなん、大人が観て楽めるわけないやん。

Y木:おまえなあ。子供向けはええけど、おまえは大人なんやからな。わざわざ取り上げて、性格悪いぞ。

S原:でもワゴンコーナーで出会ってしまったでござるよ、ニン!

Y木:スルーしろよ。まあええわ。ストーリーはどうなん?

S原:べつに大したことない。①山奥に住んでいる忍者が、都会に修行にくる。②小学生の家に住む。仲良くなる。③悪者が襲ってくる。やっつける。それだけ。

Y木:せめて起承転結にしてくれよ。

S原:でもこういう映画は単純で、それぞれの場面を工夫して面白くしたらええと思うで。

Y木:どんな工夫があるの?

S原:たとえば、忍者が新幹線より速く走るとか、都会に出てきてマヨネーズを食べて感動するとか、寝るときは天井に張り付いて寝るとか。

Y木:地味やなあ…

S原:まあそういう映画やったよ。でもイッツ・オーライトでござるよ。しかも特典映像では、映画館の舞台挨拶もあります。出演者のみなさんも、なかなか場の空気を読むのが上手かった。みんな、ごくろうさま!

Y木:……なんで上から目線?

S原:さあ、みなさん。レンタル店でジブリばっかり子供が借りたいとぐずったときは、これですよ。ジブリよりも面白いのかって?そんなことをわたしに聞いてもらっては困るでござるよ。さあ、みんなで一緒に!ニン!♪

 

酷評されている映画を観てみる!「カットスロートアイランド」(1996)の巻

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Y木:あー!この映画!

S原:バカな映画として、みんなからバカにされているこの映画を語りますよ!

 (あらすじ)

時は17世紀、カリブ海。女海賊モーガン・アダムスは、殺された父が遺したラテン語の地図を手がかりに、財宝を手に入れ、同時に復讐を果たそうと志す。陸に上がり、ラテン語が読めると自称する元詐欺師の奴隷ウィリアムを買ったところで、正体が露見。海賊討伐隊に追跡されるが、モーガンはウィリアムとともに大立ち回りの末、手下の待つモーニング・スター号に戻る。いよいよ、宝探しと復讐の大冒険の幕が上がった!

 

S原:ぼくが、個人的に『3大バカ監督』って呼んでる奴らがおるねんけどな。

Y木:だれ?

S原:ローランド・エメリッヒマイケル・ベイ、そしてレニー・ハーリン

Y木:そりゃスゴイ面子や(笑)

S原:しかも本人達は、自分たちの映画が大好きだというところがなんともまた(笑)

Y木:『自分大好きなタイプ』やな。ウォルター・ヒルトニー・スコットも入れてあげたら?

S原:いや、あいつらは、ハズレも多いけど、たまに面白い映画を撮るから許せる。

Y木:なんで上から目線やねん。それで、この映画はどうやった?

S原:実は今回初めてみたけど前評判通り、面白くはないです(キッパリ)

Y木:やっぱり酷評されても仕方ない出来?

S原:うーん。でも、ボロクソに言われる出来でもないような気がする。

Y木:そうなんや。映画自体はちゃんと出来てるんや?

S原:いやー、ちゃんと出来てはないで。

Y木:じゃあアクションがすごいんや?

S原:いやー、あんまり切れ味がなかったな。

Y木:役者はどうやった?

S原:いやー、役者の良さは出てなかったな。

Y木:ヒロイン(ジーナ・デイビス)が、ええんとちゃうの?

S原:いやー、兵庫県・尼崎の商店街を歩いているおばちゃんみたいやった。

Y木:衣装とかセットが良いんとちゃうの?

S原:いやー、べつに。コミケのコスプレみたいやった。

Y木:キーーーーー!(怒)

S原:なんやねん。

Y木:もー!さっき、「酷評するほどヒドクない」と言ってたやないか。

S原:なんで怒るねん。いやその通りやねんで。酷評するほどはひどい出来とは思わんかった。そうやな、どういえば伝わるのかなあ。なんかこの映画は、とにかく全編「ぬるい」ねん。

Y木:ぬるい?

S原:温泉旅館に行くとするやろ?結構、お金のかかった旅館の玄関やねん。ロビーには、高そうな動物の剥製や屏風が置いてたりする。カーペットもキレイ。浴場もわりと豪華やし、ちょっと凝った部分もある。でも、湯船に浸かると「あれ?」と思うねん。

Y木:なにがアレなん?

S原:なんか微妙に思てた温度とちゃうねん。自分の好みよりすこし温度が低いというか。それで、体でも洗おうかなと洗い場のイスに座ったら、どうも居心地が悪いねん。まあ腹立てることもないかなー、こういうこともあるよなー、と思いながら体を洗う。洗った後に風呂に入ってもやっぱり温度に違和感を感じる。全然ノンビリできない…なんか違う……こういう感じ。分かる?

Y木:分からんわ!

S原:まあ、しょぼい温泉を楽しむ人もいるから、人それぞれやけどな。「ぬるい」感触を楽しめる人なら、この映画はバッチグーやと思うで。ただ問題は、『大金をかけてぬるい映画を使ってしまった』というところやろな。

Y木:あー、たしかギネスに載ってなかった?

S原:そうそう。「最も興行赤字が大きい映画」でギネス認定。

Y木:ダサいなー……

S原:ごっついお金をかけてるのに、全編どことなくB級映画感が漂う……それが監督のセンスかどうかはわからんけど、お金をかけてる分「ふざけんな、こんなショボい映画を作った責任をとれよ!」と責められるという。

Y木:結局、観に行った人は「お金がかかった映画でスゴイ映画ちゃうやろか」「すごいスペクタクルシーンがあるんとちゃうか」と期待してるわけやからな。そりゃ、ショボい映画やと怒るやろ。

S原:うん。上級ロースのトンカツを食べに行ったのに、駄菓子のビッグカツがでてきたら、だれでも怒るもんなー。

Y木:それも、ごっつい高価な皿にのせられて運ばれてきたりしてな。

S原:そうそう。この映画はビッグカツやねん。わざわざ、レストランにビッグカツを食べに行かないってことやな。

Y木:なんとなくわかった。それはええけど、内容について全然話してないけどええの?

S原:まあ他のサイトでみんな紹介してるから、そっちをみてちょうだい。

Y木:適当やなー。宝探しの映画やろ。宝を探す方法とかドキドキワクワクはないの?

S原:地図がカギになってるけど、平凡やった。ここがもう少しピリッとしてると、映画の印象が変わったはず。ほかにも工夫がなくて、伏線も工夫もなく地図を奪い合うだけ。

Y木:目的はお金?

S原:そうです。単純に「お金が欲しいから」。欲望丸出しの主人公です。

Y木:共感出来へんなー。

S原:あと実物大の海賊船の名前は「モーニングスター」。名古屋の喫茶店みたいやろ。

Y木:あー小豆が主食やろうな。「5分に一度、罠がある」という宣伝文句やったけど?

S原:いやべつに。普通やった。でもクライマックスの実物大の船が爆発するところは、すごいよ。一瞬で〇億という金が消える瞬間が見える。そこは凄いよ。

Y木:いまならCGやろな。

S原:うん。最近のCGは凄いから、たぶんこの映画と同じクオリティで再現できると思う。そう考えると、ちょっと可哀そうかもな。

Y木:まーあれちゃう?歴史には名を残したんとちゃう?『話題作でしょーもない映画を撮った男』として。

S原:たしかにな。さあみなさん、意外と未見の人が多いですが、海賊映画が好きな人は楽しめると思いますよ。魅力的でないヒロイン、観た後に顔を忘れてしまうヒーロー、そしてでてくるキャラはすべて自分の欲望だけで行動する奴らばかりというゲンナリする映画ですが、一度味わってくださいませ。「パイレーツ・オブ・カリビアン」を100倍くらい薄めた映画ですが、関西人なら薄味好みなのでイッツオーライト!そろそろレンタルでもなくなってきているので、見つけたらゲットですよ!